総合化学、好業績も立ちはだかる「18年問題」

米中のエチレン生産能力激増。高機能品への事業転換待ったなし

 総合化学6社の2015年4―12月期連結決算が4日出そろい、全社で営業増益、三菱ケミカルホールディングス(HD)と住友化学、旭化成、東ソーの4社が過去最高の営業利益となった。原油安による原燃料コスト削減効果にアジア市況高が重なり、ポリオレフィンなどの石油化学品の採算が改善した。ただ、採算悪化が長期化した合成繊維原料で再編が活発化している。

 三菱ケミカルHDが同日発表した4―12月期連結決算の部門別営業利益は、アジアの石油化学品市況が好調だった基礎化学品が78億円(前年同期は143億円の赤字)、技術料収入が伸びた医薬品が前年同期比288億円増の952億円だった。

 旭化成が同日発表した4―12月期連結決算の部門別営業利益は電子部材の価格下落でエレクトロニクスが同59億円減の74億円だったが、原油安の恩恵を受けたケミカルが同61億円増の461億円、繊維が同40億円増の112億円になった。

 16年の石油化学市場はアジア市況が15年4―9月期ほどの好調さがないが、引き続き堅調な見通し。原油安は化学品価格の下落をもたらすため、三菱ケミと旭化成が16年3月期の売上高予想を下方修正した。利益面では原料価格下落の後に化学品価格が下がる時間差があるため、原油安は増益要因となる。

 ただ、中国メーカーの供給過剰がさらに強まっている合成繊維原料の採算改善が課題となる。三菱ケミはインドと中国に持つポリエステル繊維原料生産設備の減損損失計628億円を計上し、16年3月期決算予想の当期利益を15年11月予想比430億円減の220億円に下方修正した。合成繊維原料の採算改善は当面見込めず、同業他社でも同様の動きが続きそうだ。

日刊工業新聞2016年2月5日素材面
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日刊工業新聞 記者

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02月06日
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 エチレン、ポリエチレンなどの石油化学品のアジア市況は、2016年も堅調に推移する見込み。円安で輸出競争力が回復し、原油安で原燃料コストが減った国内化学業界は16年度も好業績が期待できそうだ。
 ただ、18年にも北米のシェールガス、中国の石炭由来の安い化学品の生産が本格化する見通し。公表された新増設計画が具現化すれば北米、中国ともに日本の16年のエチレン年産能力(約640万トン)を大きく上回る1000万トン以上の年産能力を持つ。国内化学業界に与える影響は甚大なため、それまでに生き残りに向けた強い企業体質をどう作るのかが課題となる。
 この課題を克服するカギをとなるのは汎用品から自動車、ヘルスケア向け高機能品への事業構造の変革、採算悪化が長期化する合成繊維原料の構造改革となる。
(日刊工業新聞社編集局第二産業部・水嶋真人)

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