「破たん」劇的ビフォーアフター!JALは変わったか(13)地域と一緒に育てる

夏の1カ月、運休していた地方の6路線を復活へ。定期便化には慎重

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伊丹‐女満別線の再開にあたりイオン伊丹でイベントを開催
 日本航空(JAL)は7―8月のおよそ1カ月間、経営破たん後に運休した中部―帯広、伊丹―女満別、出雲―札幌など、地方の6路線を運航する。繁忙期の夏季に限定し、こうした地方路線を再開するのは2014年に続き、2年連続。初めて試みた14年の6路線の利用率の平均は72%。中部―釧路線や伊丹―松本線は80%を超えており、1カ月で運航を終えるのはもったいない路線もある。この数字を前にしても、路線統括本部で国内路線事業本部長の西尾忠男は「路線を地域と一緒に育てることが大切」と、早急な期間延長や定期便化には慎重だ。

 地方空港間を結ぶ国内線は、不採算路線として収益を圧迫し、経営破たんの要因となった。JALでは会社更生法の更生計画に基づき、国内線で3割にあたる30路線、国際線で4割にあたる15路線、合わせて約45の不採算路線を廃止。ただ、JALにとっては赤字路線でも、地域にとっては数少ない交通機関の一つとなっているケースも多く、存続を求める声が絶えなかった。
 
 業績が回復して再上場を果たすと、運休した地方路線の再開を求める声は一層強くなった。6路線の限定再開は、こうした声に応えたものだ。14年に限定再開を公表した際、社長の植木義晴は「迷惑をかけた地域の方々に、再生できた恩返しをしないといけない」と述べた。

 とはいえ、むやみに地方路線を再開したのでは、経営破たん前と同じ轍(てつ)を踏む。西尾は「路線を引いても後に続かないという過去の失敗は絶対繰り返さない」と話す。JALは昨年の限定再開にあたり、自治体と連携して、地元商業施設で販促イベントを実施するなど周知を徹底した。高い利用率はこうした努力に裏打ちされたものだ。

 西尾は限定再開の6路線を、2―3年の間は増便や定期便化をしないと決めている。経営破たんまでの国内線事業は、自治体のトップが国交省に出した要望書に応じて、十分なマーケティングをせずに飛ばすことがまかり通っていた。就航後に利用率が低迷して赤字を垂れ流しても、「親方日の丸」という甘えの下で、赤字を膨らませて自滅した。この反省に立ち、国内線の路線展開は地域と共に路線を育てる「オーガニック」を貫く。(敬称略)

日刊工業新聞2015年03月25日 建設・エネルギー・生活面

COMMENT

高屋優理
編集局第二産業部
記者

航空路線は、よほど大都市間を結ばない限り、飛ばしただけで搭乗率が保証されるものではありません。でも、まず交通網がなければ、流動は生まれませんし、生活に困る地域もあります。その狭間で、航空会社には厳しい経営判断が求められます。経営破たん前のJALは、ネットワークの拡充を重視し、まず飛ばすことを優先して、自らの首を絞めてしまいました。経営破たん後は、自治体と連携して搭乗率向上に力を入れています。

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