三井物産がグループ専用ポータルサイトを開設した狙い
三井物産は連結グループ経営を強化するため、7月にGX(グループ・トランスフォーメーション)推進室を設置した。10月には連携を促す情報や協業に向けた連携の場を提供するグループ向けポータルサイトを開設。さらに同月28日には「三井物産グループ総合力EXPO」を開いた。
本社16本部やグループ会社のさまざまな階層の社員に、グループ連携の課題をヒアリング。サービスの全体像が把握できないや、他の本部・グループへの連絡は出向者に依存する、人材交流・人脈形成の場が必要などの意見があった。
それらを解決するために開設したのが、今回のポータルサイトだ。各社の商品・サービスを紹介するだけではなく、各社のプロファイルから連携先を検索できるようにしたほか、営業したい企業がグループのどの企業と取引があるのかを調べられる。
取引先から担当分野以外の相談があるなど、さまざまな課題をグループの総合力で解決する〝よろず相談所〟も設置。他のグループ会社と連携することで解決できたケースも少なくない。
「便利なポータルサイトを提供するだけでは不十分」(コーポレートディベロップメント本部総合力推進部GX推進室の山田洋丈室長)と開催するのが同EXPOだ。今回で2回目。今年も堀健一社長が基調講演した。
デジタル変革(DX)やサステナビリティー(持続可能性)などのテーマを設定して各社の取り組みを紹介。一方通行ではなく、オンライン上に設置したブースで担当者とやりとりできる。山田室長は「各社の取り組みを知り、具体的なビジネスに踏み込めるようにしたい」と強調する。
終了後も分科会や会員制交流サイト(SNS)で人脈づくりを後押しする。参加者からは連携に対する期待の高さをうかがえる反応があるが、山田室長は「始まったばかりで、正解のアプローチはまだ分からない」と気を緩めずに確実な足取りで前進する方針だ。