貿易赤字が過去最大、資源価格の高騰と円安進行で膨らむ輸入額
財務省が発表した11月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、2兆274億円の赤字となった。16カ月連続の赤字で、赤字額は比較可能な1979年以降、11月としては過去最大を更新した。今年1月から11月までの赤字額の累計はすでに暦年ベースで過去最大の赤字だった2014年の水準に達している。原油や液化天然ガス(LNG)など資源価格の高騰や円安の進行で輸入額が膨らみ、輸出額を上回った。
輸入額、輸出額いずれも11月としては過去最大となった。輸入額は前年同月比30・3%増の10兆8649億円と、22カ月連続で増加した。アラブ首長国連邦(UAE)からの原油や豪州からの石炭、LNGなどの輸入が増えた。輸出額は同20・0%増の8兆8375億円と、21カ月連続で増加した。米国向けの自動車や建設用・鉱山用機械、タイ向けの貨物船などの輸出が伸びた。
地域別では、米国向け輸出が同32・5%増の1兆7223億円と、14カ月連続の増加となった。米国からの輸入は同21・5%増の1兆419億円となり、21カ月連続で増加。自動車や建設用・鉱山用機械などの輸出が増えた。輸入は医薬品や石炭などが増加した。
中国向け輸出は同3・5%増の1兆6324億円で、6カ月連続の増加となった。中国からの輸入は同17・3%増の2兆3231億円となり、7カ月連続で増加した。プロジェクターや原料品などの輸出が増えた。灯油やイヤホン・ヘッドホンなどの輸入が増加した。
日刊工業新聞 2022年12月16日