九州新幹線「N700系」車両の整備に生かす、ロボットシステム「パンダ」の全容
JR九州エンジニアリング(福岡市博多区、師村博社長)は、パンタグラフの摩擦部材・すり板の研磨と着脱作業を自動化するロボットシステム「パンダ」を開発した。年間1600時間の人手作業を削減し、粉塵発生作業への従事をなくす。九州新幹線を走るN700系車両の整備に用いる。設定変更により他車両にも対応可能で鉄道会社への外販を見込む。
すり板はパンタグラフ上部で架線に触れる部材で、摩耗により取り換え作業が頻繁に発生する。開発したシステムは、すり板とスペーサー、取付板との着脱のほか、新品のすり板に施す研磨作業を担う。JR九州熊本総合車両所(熊本市南区)で運用する。
ボルト着脱工程では人手作業が一部必要となるため、人協働型ロボットアームを採用した。ボルト締結や研磨に用いる工具は自動で持ち替える。研磨作業ではグラインダーの押しつけ圧力を一定にすることで作業品質を標準化する。
同社は車両整備の自動化を積極化しており、安川電機と共同開発したシステムは3機目。開発期間1年半ほどで研究費を含めた投資額は約1億円。
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日刊工業新聞 2022年12月15日