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電力効率10倍、ルネサスとNEDOが開発したAIチップの効果

電力効率10倍、ルネサスとNEDOが開発したAIチップの効果

動的再構成プロセッサー(DRP)を用いたAIチップ(ルネサス提供)

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とルネサスエレクトロニクスは、電力効率を10倍に高めた人工知能(AI)チップを開発した。認識精度を落とさずに計算量を削減する。1ワットで1秒間に最大10兆回の演算ができた。現場で学習し直すことも可能。監視カメラやロボット、IoT(モノのインターネット)の高度化につながる。

ルネサスの動的再構成プロセッサー(DRP)技術を利用する。AI処理で大量に発生する積和演算を効率的に削減した。従来はニューラルネットワークのノード単位で演算を削減したが、DRP技術でノードを結ぶ枝単位で削減できるようになった。

電力効率は1ワット当たり1秒間に最大10兆回で、認識精度の低下は3%に抑えた。負荷低減と認識精度を両立した。DRP技術は追加学習も可能。現場ごとに環境が変わっても現場で学習し直して精度を上げられる。

監視カメラやロボットが高度な処理をしても発熱を抑えられるようになる。冷却ファンなしで稼働できると適用範囲が広がる。

日刊工業新聞 2022年12月14日

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