「強みをもっと強くするM&Aは必要」(ローム社長)

澤村諭氏インタビュー。昔は家電で今は車載・産機。販売先はこの10年で大きくシフト

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澤村諭社長
 ―半導体業界で再編が活発化しています。M&A(合併・買収)は考えていますか。
 「当社は(単機能の)ディスクリートとLSIが2本柱。それぞれの強みをもっと強くするような案件があれば積極的に買収を考える。ただ自社単独でも、これまで分散していたリソースを注力分野に集中し、より強くしようとしている。その一つがLSIのアナログ・パワー分野。すでに世界で4位につけている」

 ―市場別では自動車向けと産業機器向けが伸びています。
 「両市場への取り組みを強化するという方向に全社的に向かったことにより、売上高に占める比率が目標の40%に達した。次のターゲットは50%。2020年がめどだが、可能なら前倒しで実現したい」

 ―特に車向けの伸びが大きいですが、今後の見通しは。
 「車そのものが加速度的に変化しており、それを実現するのは全てエレクトロニクス。そのため電子部品や半導体の需要は増え続ける。さらに電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)が増えれば、当社のパワーデバイスがますます使われる。それらの新しい需要を一つ一つ獲得していく」

 ―産業機器向けは。
 「FA(工場自動化)やロボット、環境・エネルギーなど多くの分野に分かれ、顧客となる企業の数も多い。当社は直販が基本だが、これらすべてに対応するには技術商社などとのタイアップも必要だ。またウェブ上でシミュレーションなどができるようなサポート体制も整えている」

 ―モノのインターネット(IoT)への取り組みは。
 「ロームが貢献できるのは、リアルな社会の情報をビッグデータ(大量データ)に送り込むところまで。センサーやマイコン、ASIC(特定用途向けIC)、通信など当社が持つ技術でどのようにビジネスチャンスをつくることができるかが勝負となる」

 ―足元の市場環境は。
 「全般的に現在は下降局面にある。特に民生品ではスマートフォンが踊り場にある。それでも車などはまだまだ伸び、スマホも高機能化が進めばチャンスは増える。その中で売上高は伸ばしていける」

【記者の目・作り込みで増す存在感】
04年3月期に36%を占めていた日系デジタル家電向け売上高比率が、今や1ケタまで縮小した。一方で増え続けているのが車、産業機械向け。この10年あまりで同社の事業構造は大きく変わったが、変わらないのは垂直統合による製品の作り込みだ。”日の丸半導体“の存在感が薄れる中、ロームの存在感が増している。
(聞き手=京都・尾本憲由)

日刊工業新聞2016年2月4日 電機・電子部品・情報・通信

COMMENT

尾本憲由
大阪支社編集局経済部

最先端の工場、コスト競争力、それとも製品ラインアップの豊富さ?もちろんそれらは必要だけれど、半導体メーカーにとって不可欠なのはビジネスのエコシステム(生態系)の構築だろう。顧客や関連業界、協業相手などと深く結びつき、狙った分野で必須の存在になってしまうに限る。地味ながら、ロームもそんな取り組みが実を結びつつある。

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