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「成長機会を見逃してきた可能性がある」…大成建設がグループ戦略に抱く危機感

「成長機会を見逃してきた可能性がある」…大成建設がグループ戦略に抱く危機感

大成建設公式サイトより

大成建設グループは本業の土木・建築工事を手がける大成建設を核に、道路舗装や機械設備、さらにマンション・一戸建て住宅の建設や不動産開発・施設管理などを主体とする7社を中心に形成される。高度経済成長期の事業拡大で進出・成立させた周辺ビジネスや機能を、大成ロテックや大成ユーレック、大成有楽不動産などがそれぞれ担う構図だ。

ただ、グループ全体に占める本業の売上高は9割以上と大きい。その他の事業はこの20年ほど“安定”したままで、羽場幸男執行役員は「これまで『グループとして成長する』という姿勢が希薄だった」と受け止める。目下の課題は、グループガバナンスの強化。本業から派生した各事業を横串で捉え直し、相乗効果を引き出していく方針を打ち出す。

背景にあるのは「成長の機会を見逃していた可能性がある」(羽場執行役員)という強い危機感だ。重複する事業は少ないため、効果が小さいスリム化よりも「各社をいかに活性化し、早期に成長軌道へと回帰させるか」(同)に重きを置く。現中期経営計画の最終年度に当たる2023年度中に体制を整え、その次の3カ年で成果を出す道筋を描く。

現中計で設けたM&A(合併・買収)のための投資枠も、成長に向けた布石の一つだ。国内の建設市場はもう一段の需要拡大を描きにくいことに加え、慢性的な人手不足も抱える。それでいて、他の産業に比べ上場企業が多い。羽場執行役員は「もう少し筋肉質な業界にしないとダメだ。大手の一角として、業界再編の先鞭をつけたい」と覚悟を示す。

同社は30年度の売上高目標2兆5000億円のうち、3000億―5000億円を非連続な成長で上積みする計画だ。技術や地域といった領域で強みを伸ばし、弱みを補完する。併せて、成長のけん引役としてエンジニアリング事業を重視。医薬品・食品分野の深耕と物流施設の開拓を視野に入れる。土木・建築のリニューアル工事にも力を注ぐ。

日刊工業新聞 2022年11月10日

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