AIとETCの技術で踏切事故抑止、トヨタと名鉄が開発したシステムの仕組み
名古屋鉄道とトヨタシステムズ(名古屋市中村区)などは、人工知能(AI)と料金自動収受システム(ETC)の技術を活用し、踏切での接触事故を注意喚起するシステムを開発した。画像解析するAIが踏切周辺の渋滞を検知すると、ETC装置などで注意を促す仕組み。名鉄河和線の住吉町駅(愛知県半田市)近くにある踏切で12月下旬まで実証実験する。名鉄の横井康人部長は「自動車業界と手を組んで踏切の安全対策に取り組むことの意義は大きい」と語った。
踏切内や横断先にある道路が渋滞している時に、ETC2・0と高度道路交通システム(ITS)の車載器から「踏切の先詰まりに注意してください」と音声で注意喚起する。踏切に設けた発光ダイオード(LED)看板でも注意を促す。システム開発費などとして、国土交通省の鉄道技術開発補助金から約900万円の交付を受けて実施する。
踏切事故は全国で年間約200件発生しており、名鉄は2021年11月から事故を未然に防ぐシステム構築に取り組んでいる。実証対象の踏切では20秒を超える立ち往生が月間20件あり、「車の進入を防ぐことで事故防止につなげたい」(横井部長)考えだ。
日刊工業新聞 2022年12月08日