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目視外飛行解禁…ドローン物流の商機狙え、国産新型機投入相次ぐ

目視外飛行解禁…ドローン物流の商機狙え、国産新型機投入相次ぐ

山梨県小菅村で配送をするドローンと、離陸を見守るスタッフ

有人地帯上空で飛行ロボット(ドローン)を目視せずに自律飛行で飛ばす「レベル4」飛行形態が5日から国土交通省の規制緩和で可能になった。これによりドローン市場の広がりが期待される。中でも期待が大きいのが荷物配送の物流分野。ACSLやエアロネクスト(東京都渋谷区)、ブルーイノベーション(東京都文京区)、エアロセンス(同)などの国産ドローン企業が物流用機体や技術投入、過疎地での配送サービスといった取り組みを強化している。(編集委員・嶋田歩)

トラックや鉄道などと比べたドローン輸送の強みは、道路や鉄道線路といったルートの制約を受けず、最短コースで自由に飛べる点だ。空中を飛ぶドローンは、トラック輸送のように赤信号で止められたり、交通渋滞に巻き込まれたりする心配もない。

もっとも、レベル4解禁で有人地帯上空の飛行が可能になったとはいえ、実現にはいろいろな壁が立ちはだかる。ドローン配送事業者は飛行計画や運航管理ルールを事前に国へ届け出なければならず、機体認証や操縦ライセンスの取得も必要だ。

都市部上空を飛ぶ場合は現実問題として、住民の生活を上空からのぞくことになる生活プライバシーの問題や騒音問題への配慮、機体部品や荷物が落下した場合の対策や保険商品なども併せて準備する必要がある。これらのネックから有人地帯上空飛行の実現は、山間部や離島などの過疎地や「買い物難民」への生活品配送、災害時の情報収集や緊急時の医療品配送などが先行するとみられている。生活プライバシーや騒音、安全問題などで住民の反発を招く心配が少ないためだ。

ただ、過疎地で事業展開する場合、利用件数はそれほど多くならないことも予想され、事業者としてビジネスが成り立つのかという別の問題がある。山梨県小菅村をはじめ複数地域で始まっているエアロネクストなどのグループの配送サービスでは、1回につき配達料金300円などが加算される。自治体の補助金支援など現実的な手段も含めて、料金設定や1日当たりの飛行便数設定が利用拡大の上でポイントになりそうだ。

日刊工業新聞 2022年12月07日

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