ジカ熱の国内対策急ぐ。関係省庁会議立ち上げ

妊婦は渡航をなるべく控えるよう呼びかけ

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写真はイメージ
 政府は2日、中南米で流行しているジカ熱について、関係省庁対策会議を立ち上げ、感染症法や検疫法の法令改正などを急ぐことを確認した。当面の対策の柱は、ジカ熱を感染症法上の4類感染症に指定し、患者の感染確定時に医師が保健所に届け出ることの義務づけだ。外務省や航空行政を担う国土交通省、観光施策を担う観光庁なども対策を出し、月内にも対策をまとめる。

 WHO(世界保健機関)は1日に緊急委員会を開き、ジカ熱との関係が疑われる小頭症の多発について、国際保健上の緊急事態を宣言した。厚労省は、感染症法のほか、検疫法に関する法令改正も急ぎ、検疫所においてサーモグラフィーで発熱が分かった入国者に中南米の感染流行地域への渡航歴がないかなどを聞けるようにする。

 また、日本医師会に対し、ジカ熱の診断や診療方法を全国の医師に情報提供するよう要請する。医療機関向けの診療ガイドラインも改定する。

 ジカ熱は、蚊を媒介してウイルスに感染する感染症。国内で感染事例は報告されていない。現在中南米では、ジカ熱に感染した妊婦が、生まれつき頭が小さい子を出産する事例が増えており、ジカ熱と小頭症の関係が疑われている。感染しても8割程度が無症状とされており、出産して初めて妊婦がジカ熱に感染していたと分かるケースもあるという。

 日本では蚊が飛び交う季節ではないため、大きな流行がすぐに起こるとは考えにくいとされるが、感染者の把握が非常に難しいため対策を急ぐ。また、政府挙げて渡航者は蚊にさされないよう対策を万全にすることや、特に妊婦は渡航をなるべく控えることが望ましいと呼びかける。

殺虫剤メーカー、動向注視


 WHO(世界保健機関)のジカ熱に対する緊急事態宣言を受けて、フマキラーには流通業者からの問い合わせが増加した。対象商品などへの質問が相次ぎ、「前回のデング熱と同じような状況だ」(広報)とする。アース製薬は、「一般消費者からの問い合わせはほとんどない」(広報)が、情報収集を進め対応を検討していく。

 シーズンが冬ということもあり、今のところは両社とも商品の増産や営業強化の動きには至っていないが、動向を注視している。

日刊工業新聞2016年2月3日4面

COMMENT

 ジカ熱自体は、それほど恐れる必要はないという。妊婦、特に妊娠初期にウイルスをもつ蚊にさされて感染すると、小頭症の子を出産する事例が中南米で出ており、もっぱら小頭症との関係が警戒する点となる。WHOが緊急事態(PHEIC)を宣言したのも、流行地域での小頭症と神経障害についてだ。  ジカ熱は、症状や感染経路の似ているデング熱に比べ、症状が分かりにくいという。発熱の程度は軽度、しかも無症状のこともあるためだ。政府、特に厚生労働省は、感染の有無を把握することが非常に難しいゆえに対策を急いでいる。蚊(日本ではヒトスジシマカ)が飛び交う季節までに先手、先手を打っていく方針だ。  日本は、デング熱に加えジカ熱にも対処することで、夏に向け青森県以南のほぼ全国で、蚊を積極的に駆除していかなければならない国となった。 (日刊工業新聞社編集局第ニ産業部・米今真一郎)

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