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旭化成、エチレン設備を停止。「解体と再編の道のり」が始まった

水島製造所で月内に。三菱化学との統合で集約
 旭化成は水島製造所(岡山県倉敷市)のエチレン生産設備(年産能力44万3000トン)を月内に止める。4月に三菱化学と水島コンビナートのエチレン生産の統合を決めており、2月中旬からの定期修理に合わせて同設備を止めることにした。これにより国内のエチレン生産設備は12基と13年比3基減となる。

 エチレン生産設備はナフサ(粗製ガソリン)を熱分解してエチレンなどの石油化学品を生産する石化コンビナートの中核設備。水島コンビナートでは1972年に稼働した旭化成のほか、三菱化学も年産能力43万1000トンのエチレン生産設備を持つ。

 13年8月に両社のエチレン生産統合を決定。旭化成のエチレン生産設備を止めて三菱化学の同設備に集約し、4月に設立する両社の折半出資会社「三菱化学旭化成エチレン」(東京都千代田区)を通じて運営することで合意している。
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日刊工業新聞2016年2月3日1面の記事から抜粋
永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
昨年暮れに、汎用品に強いダウと特殊樹脂とアグリ他に特化しつつあるデュポンの合併が発表された。モンサントは種子等アグリビジネスに特化して久しい。欧州ではBASFとバイエルが機能性特殊樹脂と薬品で独自性を発揮している。世界の化学企業が旗幟鮮明にして合併と棲み分けを進めているときに、日本には化学企業が多すぎる。汎用品の生産は、石油、ガス、石炭等の原料を保有する国に勝てるはずがない。日本企業は、汎用品から機能製品分野に特化するのか。省エネ・省資源等に寄与する(炭素繊維に代表される)新素材分野を狙うのか、化学的新プロセスによる炭素フリーの水素社会を目指し変容するのか。今回のエチレン設備停止の報道は、日本の化学産業が企業の枠を超えて、人口減少で内需が細る国内で世界に伍して生き残るために、“弱い分野を削ぎ落とし、強い分野を強化する”「解体と再編の道のり」の開始を告げたすぎない。

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