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リサイクル困難の錠剤包装シート再生、オリックス系が事業化へ

リサイクル困難の錠剤包装シート再生、オリックス系が事業化へ

PTPシートを分離したアルミ

オリックス環境(東京都港区、谷本護社長)は、2023年3―4月をめどに錠剤の包装に使うシートのリサイクル事業を始める。大同樹脂(長野県阿智村、内田依子社長)と提携し、材料のプラスチックとアルミニウムを分離する装置を船橋工場(千葉県船橋市)に導入する。リサイクルが困難で焼却処分しかできなかったシートの資源循環を実現させる。

錠剤を包むPTPシート。工場で空シートが発生し、焼却処分していた

錠剤を包むシートは製薬業界で「PTPシート」と呼ばれ、透明のプラスチックとアルミを接合して製造する。大同樹脂はPTPシートを熱してプラを膨張させ、アルミを剝がすノウハウを持つ。分離したプラとアルミは素材別に回収でき、製品材料に再利用するマテリアルリサイクルができる。

製薬工場ではPTPシートに錠剤を入れる装置の運用上、錠剤が入らない空シートができてしまう。オリックス環境は許認可を取得後、収集運搬会社などとの全国ネットワークを使って製薬工場から空シートを集め、船橋工場でリサイクル処理を始める。

現状ではプラとアルミをきれいに剝がせないため、製薬工場が産業廃棄物として排出した空シートは焼却処分されていた。オリックス環境は空シートが年1万トン発生していると推定する。同社はPTPシート以外にも、プラと金属が接合した他の部材の再資源化も検討する。

製薬会社はPTPシートのリサイクルが可能になると廃棄物を削減でき、資源循環に貢献できる。特にプラ廃棄物は削減が求められており、政府は19年、プラスチック資源循環戦略を策定して30年までにプラの再生利用を倍増させる目標を設定した。

また22年4月にはプラスチック資源循環促進法を施行し、あらゆるプラ製品の廃棄削減や再利用を促している。

日刊工業新聞 2022年11月09日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
錠剤シートがリサイクルできないとは知りませでした。調べると他にも金属やガラスと樹脂が接着していてリサイクルが難しいものがあります。例えば光ディスクや冷蔵庫のガラス扉など。新しい技術に期待です。

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