シートベルト端材で「クリアトート」製品化、トヨタ系部品メーカーが大学生のデザイン生かす
東海理化がシートベルト端材を再利用し、日用品に生まれ変わらせる取り組みに力を入れている。愛知県内の大学生やジェイアール東海高島屋(名古屋市中村区)と連携し、カラフルな見た目や自由な組み合わせが可能な「クリアトート」を製品化した。このほどジェイアール名古屋タカシマヤ(同)で試験販売を実施。ここで得たニーズを分析し、今後の継続的な展開につなげる方針だ。(名古屋・川口拓洋)
クリアトートはビニールカーテンとシートベルトの端材を組み合わせて作成した。シートベルトの金具も残し、アクセサリーなどを取り付けられるように工夫。東海理化ニュービジネスマーケティング部の荒河修里プロジェクトチーフデザイナーは「カラーバリエーションも豊かになった。学生にシートベルトの端材が材料だということを前向きに捉えてもらった」と話す。
トートバッグにアパレル商社の瀧定名古屋(名古屋市中区)の端材で作った巾着を組み合わせることで、使用者の好みに合わせたカスタマイズにも対応できるようにした。
一連の取り組みは国連の持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにした催事を展開する高島屋が仲介する形で実現。東海理化の製品については、愛知淑徳大学や金城学院大学など6大学から約20人の学生が開発に参加した。学生から30件ほどのデザイン案が挙がり、そのうち2型5種類が採用された。「学生たちの自由な発想が、商品力にさらに磨きをかけた」(ジェイアール東海高島屋販売促進部統括グループ)と連携に手応えを感じる。
東海理化は今春からシートベルト端材を再利用するアップサイクルビジネスに参入。「シンクスクラップ」の名称でブランド展開する。同製品は電子商取引(EC)サイトや期間限定の実店舗で販売するが、端材を活用するため需給のバランスを取るのが課題。荒河チーフデザイナーは「今後、販売体制の整備を進めたい」と力を込める。