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MRJ、2月上旬から再び空へ

機体の改修が完了
MRJ、2月上旬から再び空へ

MRJは主翼や胴体の強度など着々と完成度が高まる

 【名古屋】三菱航空機(愛知県豊山町)は、開発する国産小型旅客機「MRJ」の試験飛行を2月上旬にも再開する。MRJの飛行は2015年11月27日に実施した3回目の試験飛行以来、約2カ月ぶり。これまで進めてきた主翼や胴体の改修を終え、安全性に問題がないと判断した。16日にアジア最大級の航空見本市「シンガポール航空ショー」が控えており、同社は試験飛行の再開で営業に弾みをつける考え。

 MRJは15年11月11日に初飛行した後、同19日、同27日と計3回飛行。上昇、下降などの飛行特性や、タイヤの格納などの動作を確認した。ただ、その後は「より安全性を高めたい」(岸信夫副社長)として、主翼や胴体の強度向上、ソフトウエアの更新といった改修作業を進めていた。

 今回の改修では試験機の主翼の付け根などに板材を追加し、強度を高めた。具体的には飛行中に想定される荷重のさらに1・5倍の荷重に耐えられるようにした。量産機にはこれを反映し、部材の厚みを増すことで強度を保つという。このため、機体の重量増につながる可能性がある。

 一方、三菱航空機は15年12月24日に通算4度目の納入遅れを発表し、初号機の納入を従来の17年4―6月から18年半ばに変えた。機体の強度不足が開発遅れに結びついたとの見方は否定し、「米国の有識者と共同で開発計画を見直した結果、地上試験の追加などが必要になった」(岸副社長)とした。

 現在、試験機の改修を終了。1月からは再び試験機を格納庫外に出して、エンジンなどの機能試験を再開している。近く地上走行試験に臨むとみられる。

 MRJの"完成度"は、設計の面以外でも着々と高まる。このほど、営業面への配慮からMRJの基本形である「MRJ90」の標準座席数を、従来の92席から4席減の88席に変更。座席の間隔(シートピッチ)を従来の29インチから31インチに拡大した。同社は「国際標準に合わせた」と説明する。ピッチの拡大で、乗客の快適性を向上させる狙いだ。

 16日には2年に1度の「シンガポール航空ショー」が開幕する。航空機メーカー各社にとって、アジアを中心とする航空会社からの受注を発表する場だ。今回、三菱航空機は従来通り客室部分のモックアップ(実物大模型)を展示する計画。MRJの新規受注は1年以上遠のいているが、飛行試験の再開で新規受注につなげられるか注目だ。
日刊工業新聞2016年2月1日航空機面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
最近は防衛省向けの「先進技術実証機」も公開した三菱重工。こちらは2月15日以降の好天日に初飛行が予定されています。 国内開発の機体が、どんどん飛び立つような時代となりました。飛行機ですから飛ばしてナンボ。飛ばしてみて初めて分かることも多々あると思います。まさにこれからが本番です。

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