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マルエツ、小型食品スーパーでコンビニの〝商品空白〟狙う

生鮮や総菜、ワインなどで集客力を強化。小商圏での顧客争奪戦が激化
マルエツ、小型食品スーパーでコンビニの〝商品空白〟狙う

マルエツの高級小型食品スーパー「リンコス」

 マルエツは東京都千代田区九段北に5店目となる都市型小型食品スーパー(SM)「リンコス」を開いた。リンコスは同社が多店舗化してきた小型SM「マルエツプチ」のアップグレード版。小型SMはどうしてもコンビニとの競争が意識されるが、リンコスはコンビニの倍程度の売り場面積ながらコンビニが品ぞろえしにくい鮮魚、精肉など生鮮食品やチーズ、ワインといった商品の幅と奥行きがあるのが特徴だ。都心部のコンビニ対抗業態として新市場を開拓する。

 リンコス九段店の売り場面積は363平方メートルと標準的なコンビニの2倍強。コンビニとは商品に対するニーズが違うとの見方もあるが、中食需要の取り込みに力を入れるコンビニ側からすれば当然、意識される業態だ。

 例えばチーズコーナーやワインコーナー。ワインは200品目近い品ぞろえがあり、数十種類のチーズをそろえている。ローストビーフ、サラダやできたて総菜にベーカリーと、徹底的にコンビニの”空白地帯“を埋める商品政策だ。
 
 同社では「マルエツプチ」を現在70店近く展開しているが、上田真社長は「リンコスは専用商品が10%程度ある」と独自色を強めている。

 客単価もプチに比べ高めに設定。都市部の高賃料の立地でも、付加価値型の商品政策とローコスト運営を確立し、展開を加速する可能性もある。

 リンコスはこれまで都心に3店、千葉に1店を展開している。上田社長によると今回の九段店では従来の属人的運営からプチや標準型店で蓄積した発注、運営のノウハウを導入したとしており、多店舗化も視野に入れているとみられる。

 鮮魚や総菜などでは品目によって、店内と生鮮加工センターを使い分けし、コンビニなどへの対抗手段となる”鮮度“”できたて“を両立する取り組みも実施している。ベーカリーも店内で焼きたてを提供する。

 営業時間は7時から23時までと長時間営業で売り上げ目標は7億2000万円。コンビニでは飽き足らない層を取り込めるか。「マルエツプチ」に続く、コンビニの対抗馬となるか注目される。
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日刊工業新聞2016年1月28日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
食品スーパーはコンビニが生鮮食品や総菜を扱い始めて以降、コンビニとの競合が激しくなっていました。 マルエツはコンビニでは手がけにくい、生鮮食品や出来たて総菜などを徹底強化した小型食品スーパー業態に力を入れて巻き返しを図っている格好です。

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