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「わからへん。東京で聞いて」(シャープ首脳)ー4日に国主導の支援受け入れ表明

産業革新機構と主力2行、「経済合理性」の詰め急ぐ
 経営危機のシャープ再建を巡り、主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行、政府系ファンドの産業革新機構の4者は、水面下で最終合意に向けた協議に入った。シャープは多くの事業が不振で資金繰りが悪化。残された時間が少ない。4者はそれぞれの利害関係者に説明できる、「経済合理性」と呼ぶ落としどころの詰めの作業を急いでいる。

 革新機構は国が9割超出資する政府系ファンドで、国内産業の国際競争力強化を趣旨とする。抜本的な構造改革の先送りで経営危機を招いたシャープ支援は「救済色」が色濃く、公的資金注入にも批判が多い。

 革新機構はシャープの液晶事業を分社化して、18年にも液晶大手ジャパンディスプレイ(JDI)と統合させる。大型投資で勢いを増す中国や韓国、台湾メーカーに「日の丸液晶連合」で対抗する。経営難の東芝の白物家電や事務機器を、シャープの同様事業に統合する案なども同時進行で検討中だ。経済産業省がかねがね描いてきた電機業界再編の起因にし、「救済色」を薄める意味もある。

 革新機構はシャープに投資する決議を先送りしたが、議論は着々と進む。再建策を問う質問に対し、「わからへん。東京で聞いて」(シャープ首脳)と返答を繰り返すシャープに経営自由度はない。国主導が既定路線とされ、複数の主力行幹部が「機構案で進む」ことを示唆する。

 ただ、シャープ支援に意欲的な外資企業の出資提案が波紋を投じ、決議を遅らせた側面がある。電子機器製造受託サービス(EMS)世界最大手の台湾・鴻海精密工業の提示額は機構案の2倍強の7000億円規模。主力行には追加金融支援を求めず、優先株の買い取りも示した。テリー・ゴウ(郭台銘)鴻海精密工業会長が来日し、トップ交渉で巻き返しを図ったが、機構優位は揺るがない。

 革新機構の「日の丸液晶連合」結成へのこだわりは強い。JDI設立時にシャープに参加を断られたが、経営不振以降、接触を続けた。最近、海外メディアがそろって、「外資企業の投資に対し日本市場は閉鎖的だ」と批判を強めた。経産相ら政府高官は会見で革新機構について「経営失敗企業の救済はしない」、「特定技術の海外流出防止のための投資は行わない」などのメッセージで配慮する。

 シャープは革新機構案の受け入れを4日の決算発表で表明する見通し。今、米アップルの関連銘柄は、同社の新型スマートフォンの販売失速で総崩れ状態。同社に液晶パネルなどを供給するシャープの営業黒字予想も一転して赤字になる見込みだが、国主導の支援でひとまず延命はできそうだ。
日刊工業新聞2016年2月1日2面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
こういう時は陰謀説もいろいろ流れる。鴻海との間で密約があるとかないとか・・。革新機構が出資してもいずれ出口戦略があるので。

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