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購入率1.42倍、踊っておねだりする「ロボット」の効果

サイバーエージェントと阪大実証

サイバーエージェントの岩本拓也研究員と大阪大学の石黒浩教授らは、商品をロボット化して遊び心のある自己推薦をすると販売数が伸びることを実証した。スピーカー付き小型回転昇降台に商品を載せてダンスをさせると商品説明の1・42倍に販売数が伸びた。商品が変わっても効果的に売り込む汎用性のある宣伝法になる可能性がある。

ハロウィーン向けのカボチャ容器にあめを入れた商品を販促した。小型回転昇降台に商品を載せ、五つ並べて回転させたり上下させてダンス風に見せる。ダンスの後に「うちに連れてってあげて」とお願いする。商品説明の場合に比べて通行人が足を止める確率が16%、購入する確率が42%向上した。ロボット化しない通常条件に比べると通行人当たりの購入率は6倍になった。

従来のロボット接客では遠隔操作や自律型のロボットが商品の脇に置かれてPRしていた。商品自体が動いて演じると直接的なメッセージなる。

そこで商品がダンスをした後に「私を迎えに来て下さい」とお願いする場合と、商品の側のロボットが「商品を取ってください」という場合を比較した。統計的な有意差は付かなかったが購入率や数は商品がお願いするケースが最多になった。

このPR法は高度な対話技術が要らない。商品ごとにPRシナリオを作らなくて済むため、対話パートの作成コストを抑えて小売店舗でロボットを利用しやすくなる。さらに顧客属性ごとに推薦内容や話し方を変えるロールプレーイングと組み合わせると効果が伸びると期待される。

日刊工業新聞 2022年11月02日

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