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非接触検査の効率高める、東芝が開発した「滑る超音波透過シート」の実力

非接触検査の効率高める、東芝が開発した「滑る超音波透過シート」の実力

1秒間に10回程度の多点測定ができることを確認した

東芝は超音波を使った非接触検査装置の操作性を向上できる「滑る超音波透過シート」を開発した。粘着性シートの表面に、滑る性質を持つ格子状の材料を一体化した。超音波を発信する探触子の表面にシートを取り付けると、検査対象物の表面で探触子を滑らせて動かせるため、検査効率を向上できる。風力発電といった大型設備向け自動検査装置などの需要を社内外で探り、2024年度中の市場投入を目指す。

超音波非接触検査は探触子を対象物に直接触れさせずに超音波を送受信して、構造物の内部の傷や欠陥を測定する。対象物表面に超音波伝搬性があるゲルやペースト状の液体を塗布する従来方法は、検査対象を汚す、検査後に除去が必要、多孔質素材や濡れ性の低い面には使用できないなどの課題がある。一方、粘着性のシリコーンゴムシートなどを対象物と探触子の間に挟む方法もあるが、測定する度に引き剥がす必要があり作業性が悪い。

今回開発したシートの材質や厚みは明らかにしていない。測定時は探触子にシートを取り付け、18キロパスカル(1平方センチメートル当たり180グラム)の荷重を加えて、シートを対象物に密着させる。実験では荷重を加えてから50ミリ秒の短時間で測定が可能になり、1秒間に10回程度の多点測定ができることを確認した。今後、ロボットなど自動検査装置を使った保守点検作業の促進につながる点を訴求し、社内外でニーズを探る。

日刊工業新聞 2022年11月08日

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