富岡製糸場に続け!―官営八幡製鉄所、世界遺産登録なるか

新日鉄住金の旧本事務所を眺望できるスペース開設

  • 0
  • 0
眺望スペースから世界遺産候補の一つ、旧本事務所(中央)が見える
 昨年の富岡製糸場(群馬県富岡市)に続き、今夏にも「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録が有力視されている。対象は岩手から鹿児島まで点在するが、中でも九州・山口地区に集中している。

 その一つ、官営八幡製鉄所(現・新日鉄住金=北九州市八幡東区)の旧本事務所を眺望する施設が開業した。中央にドームを持つ赤れんが造りの2階建ては、操業2年前の1899年(明32)の完成。補修を繰り返して重厚な姿を今に残すが、構内にあるため公開していなかった。
 そこで、近くの駐車場から地下道を通じた先に無料の見学スペースを設置。施設整備費の約3000万円は市が負担した。80メートルの距離から遠望するだけで撮影も認めていない。それでも世界遺産候補の歴史的建造物をひと目見たいという市民の熱い声にこたえた。

 同じ構内にある修繕工場や、三菱重工業長崎造船所(長崎市)の日本初の大型電動クレーンは、100年以上を経た今も現役だ。こうした重工業の稼働施設の世界遺産登録が実現すれば、わが国初。世界でも珍しい事例となる。
 見学スペースの頭上には高速道路。近隣には大型商業施設やテーマパークなど近代的な建物が立ち並ぶ。しかし向かいの一角だけは、時代を超えて凜(りん)とした明治の空気が漂っている。
(日刊工業新聞2015年04月21日 総合1面)


<関連記事>
北九州市、新日鉄住金の旧本事務所を眺望できる専用スペース開設


 北九州市は16日、官営八幡製鉄所(現新日鉄住金)の旧本事務所を眺望できる専用スペースを建設した。17日開業する。同事務所は2015年夏の世界遺産登録を目指す「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の構成資産の一つ。これまで非公開だったが、北九州市が新日鉄住金に要請し、敷地の一部を借り受ける形で実現した。整備費用は約3000万円。

 旧本事務所は1901年に操業した八幡製鉄所の初代事務所として1899年に完成。老朽化が進み、また製鉄所構内にあることから、安全や機密保持の点で一般公開していなかった。ただ同じ構成資産の修繕工場や旧鍛冶工場とともに近く決まる世界遺産の主要建築物として、市内外で公開を望む声が多かった。眺望スペースは長さ140メートル。同事務所までは80メートルの距離で、斜めからの姿を望見できる。目の前に専用軌道があり、構内を行き交う鉄道やトラックも見ることができる。
 開場時間は9時半から17時(月曜定休)。入場無料で写真撮影不可。

日刊工業新聞2015年04月17日 列島ネット面

COMMENT

昆梓紗
デジタルメディア局
記者・編集者

富岡製糸場が世界遺産に登録された際は、昨年度の来場者数を4カ月足らずで超える約34万人が来場。大きな経済効果をもたらしました。北九州市が見学施設整備に力を入れるのにも頷けます。 今回新たに設けられた見学スペースは、80メートルの距離から遠望するだけで撮影も認めていないということで、観光客にとっては少し物足りなさを感じそうですが…

関連する記事はこちら

特集