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INPEXが天然ガス供給拡大で導管延伸

新電力需要取り込み
INPEXが天然ガス供給拡大で導管延伸

直江津LNG基地が国内への天然ガス供給の重要拠点に

 国際石油開発帝石(INPEX)は、火力電源向けの天然ガス供給に力を入れる。大型ガス田の開発やガス導管の延伸が進み、ガスの供給拡大に必要なインフラが整ってきたことから、関東甲信越などに展開する導管網の沿線地域で、売り込みを積極化する。4月からの電力小売り全面自由化をにらみ、新規参入の電気事業者(新電力)などの間で火力電源を新増設する動きが活発化していることに対応する狙いだ。

 新電力が保有する発電所へのガス供給の第1号として、日本テクノ(東京都新宿区)が2015年12月に営業運転を始めた天然ガスエンジン発電所「上越グリーンパワー」(新潟県上越市、出力11万キロワット)向けに年間約1億立方メートルのガスを卸す契約を結んだ。ほかにも複数の事業者と交渉している。新電力に加え、ガスを燃料とする自家発電設備などの需要開拓にも取り組む。

 INPEXがこの間に進めた生産・供給インフラの整備で、液化天然ガス(LNG)を産地から受け入れる直江津LNG基地(上越市)の操業が13年に始まり、豪州における年産890万トン規模の大型ガス田開発事業「イクシスLNGプロジェクト」も17年7―9月期に生産が始まる見込み。

 直江津と富山市方面を結ぶ新しい主要幹線導管も16年央に供用が始まり、新規需要開拓への環境が整う。これらのインフラを活用することで「天然ガスの生産から自前の導管網による託送までを一貫して手がけられる強み」(北村俊昭社長)を生かし、主要な卸先である都市ガス事業者に加えて、新電力などの需要を取り込んでいく考えだ。
日刊工業新聞2016年1月29日エネルギー面
村上毅
村上毅 Murakami Tsuyoshi 編集局ニュースセンター デスク
ガス火力は石炭火力に比べて、導入コストが安く、短期間で導入できる。燃料をガスをどう引っ張ってくるかが課題だが、導管の整備が進めば、内陸でも新電力向けの小型のガス火力の設置が進みそうだ。

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