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生産減少見通しも…トヨタ系中堅部品メーカー3社が売上高を上方修正した理由

トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社が発表した2023年3月期連結業績予想は、3社が売上高を上方修正した。主要取引先であるトヨタ自動車などの生産減少を見込むものの、為替が円安に振れており売上高は上積みされる見通し。一方、営業利益は鋼材やエネルギー費、物流費の高騰により据え置きや減益を予想する。

売上高を上方修正したのは愛三工業東海理化中央発條の3社。円安による売上高の増加やインフレによる費用高騰分の売価反映が主な要因だ。

ただ、営業利益は自動車メーカーの減産やコスト増加の影響を受けており、合理化努力や減価償却費の減少で抑える構図だ。トヨタが970万台としていた通期の世界生産計画は下ぶれる見通し。中央発條の小出健太社長は「リスクを考慮して900万台前半を予想している」と語る。フタバ産業の魚住吉博社長も「事業環境は大変厳しい」と述べた。

愛三工業の野村得之社長は「原材料費やエネルギー費も想定以上に大きな影響」と説明。ファインシンターはコスト上昇が利益を圧迫し、各利益段階を4月公表時から下方修正した。

22年4―9月期は全社が増収で着地した。ただ円安効果が大きく、中国・上海でのロックダウン(都市封鎖)による減産影響などから「実質的には減収」(杉原功一大豊工業社長)、「支給品や為替変動を除けば減収」(魚住フタバ産業社長)と総括した。

日刊工業新聞 2022年10月28日

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