サービスロボットの生産性を単位面積で換算してみよう

文=三治信一朗(NTTデータ経営研究所)導入メリットの見える化で普及を

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サイバーダインのクリーンロボット(同社提供)
 掃除ロボットも立派なロボットとして分類されている。国際ロボット連盟(IFR)によれば、その2014年時点の市場は業務用で738万ドル、家庭用で80億ドル近くとなっている。さらに、今後3年程度で、倍程度以上の伸びを予想するなど、今後も成長が期待されている。その期待値は、人が楽になるという自動化のメリットが有効に機能するためと考えられる。

 デンマークなどの福祉先進国では、さまざまな介護ロボットが導入されている。先端的なロボットで、かつ人の労力を軽減できる先端的な機器として、掃除ロボットが補助対象となり、税金が投入されているという例もあった。

 掃除ロボットは米アイロボットの「ルンバ」が有名だが、実は以前から、主要な家電メーカーであれば少なからず研究開発に取り組んでいたことはあまり知られていない。

日本メーカーが掃除ロボットで出遅れた理由


 掃除ロボットの区分は難しく、家電として捉えた場合、掃除機の市場そのものがある程度存在するため、自動化という付帯機能でいくらの市場を取り込めるのかという視点と、日本メーカーは日本での市場を気にして、ある特定の市場を求めるためのリスクから製品化が遅れたと筆者はみている。

 また、一般消費者向けと業務用向けでは支払い価値に大きく差異があることもわかる。一般消費者向けで立ち遅れている状態であるので、業務用向けを充実させたい。業務用向けをロボット化した時のメリットを考えるためには、既存掃除機の代替ではなく、掃除「サービス」として考えるべきである。

 このようなサービスの置き換えの一形態として、面積で費用対効果を計算できるビジネスモデルを面積ビジネスと名付けたい。単位面積あたりの生産性に着目すれば、既存のサービスと比較できる。

置き換えの損益分岐点


 例えば、ビル清掃を掃除ロボットに置き換えるとすれば、単位面積あたりで、これまでの人が行っていたものと、掃除ロボットの効果を実際に具体的に計算できる。この計算があれば、どのあたりが損益分岐点になるかがわかるので、あとは、保守・メンテナンス計画などを立て、運用面を充実させていくことになろう。

 オフィス向け、農業といった場面でのロボット活用を考える際には、ロボット導入の環境が大きく異なるので、採算性を考えにくいといわれている。このための測定指標の一つとして、原単位としての面積あたりの生産性を考えていくことが、ロボットビジネスモデルの参考となるはずだ。
三治信一朗(さんじ・しんいちろう)NTTデータ経営研究所 事業戦略コンサルティングユニット 産業戦略チームリーダー シニアマネージャー。2003年(平15)早大院理工学研究科物理学及応用物理学専攻修了、同年三菱総合研究所入社。15年NTTデータ経営研究所に入社し産業戦略チームリーダー

日刊工業新聞2016年1月29日ロボット面

COMMENT

政年佐貴惠
名古屋支社編集部
記者

今後サービスロボットが普及していくにあたって、「この現場ならA社のロボットをどの方法で使ったら一番メリットがありますよ」という「コンシェルジュビジネス」も広がっていくのだろう。自然発生するのを待つよりも、ロボット業界側でこういう立場の人を意識的に作っていけば、普及スピードを上げられるのかもしれない。

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