乗り捨てレンタカー、スタートアップは難事業を軌道に乗せられるか
パスファインダー(東京都板橋区、小野崎悠介社長)は、レンタカーの利用時に貸出店舗に返却せずに、目的地で他の利用者とマッチングし、貸出店舗に返却するサービスの実証実験を加速する。首都圏2カ所と空港間で実証実験する方針で、路線拡大のための実証実験も実施する。MaaS(乗り物のサービス化)事業を軌道に乗せ、2028年までに新規株式公開(IPO)を目指す。
パスファインダーのサービスは対話アプリケーション「LINE」でレンタカーの予約から決済までを可能にする。独自のアルゴリズムを活用することで、上りと、下り利用者のマッチング(計算手順)を最適化するのが特徴だ。
現在、東京―大阪間でスタートしているが、今後、東京―名古屋間など長距離で人口が密集している地域をターゲットに路線を拡大する。効率的な運用を実現するため、関東―北海道、福岡―北海道間に続き、大手レンタカーやカーシェアリング会社との実証実験を加速していく。
これらの取り組みを進めるため、ANOBAKA(東京都渋谷区)やWベンチャーズ(同)、ココナラスキルパートナーズ(同)、ベクトルなどから8000万円を調達した。自動的に利用者の予定変更を促す機能の開発などアルゴリズムの改善や操作環境の向上にも充てる。
パスファインダーの事業やレンタカーを貸出店舗に返却せずに、目的地周辺の店舗に返却できる「片道乗り捨てレンタカー」サービスは、国内レンタカー市場の10%に当たる1000億円といわれる。利用者は増加傾向にあり、将来は30%の3000億円に拡大する潜在的なニーズがあるという。
ただ、利用には回送委託料が必要になり、それが利用のハードルになっている。回送委託料は運転手の不足や利用者の増加により、高騰している。全てのコストを利用者に転嫁することは難しく、地域によっては赤字に陥るケースもあるという。