「スマホ市場の鈍化鮮明。企業の格差でる」(アルプス電気社長)

栗山年弘氏に聞く。クラウドのゲートウェイで勝負

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栗山社長
 ―スマートフォン向け部品の事業環境をどう見ていますか。
 「スマホ市場の成長率は1ケタ%台になり鈍化が鮮明になる。こうした中で、サプライヤーがスマホ1台に対してどれだけ付加価値を与えられるかが、これまでより重要になってくる。提供できるかできないかで企業間で差が出てくる」

 ―主力製品の一つであるカメラ用アクチュエーターは、スマホのキーデバイスですが需要動向は。
 「確かにカメラ系部品はまだ付加価値を与えられるデバイスといえる。我々が提供する光学式手ぶれ補正(OIS)用も今は高級機種が中心で、スマホ搭載率は100%ではなく採用拡大の余地がある。アクチュエーターを含めスマホ向けはあと2―3年くらいは伸ばせるとみている」

 ―4月から始まる3カ年中期経営計画の骨子は。
 「次の中計もスマホと自動車向けの両輪で収益を上げる構図になる。車向けは2ケタ成長が続いており、電子シフターなど新商材の採用数も伸びる。次の3年で収益力を高めながら、さらに3年後を見据えた新事業を本格的にやっていく」

 ―新事業の目玉は。
 「モノのインターネット(IoT)分野になる。センサーとセンサーで取得したデータをクラウドに接続するために必要なゲートウェイの提供で勝負していく。エレクトロニクス分野に知見のない異業種企業も顧客になるため、できるだけ標準品に近い製品をそろえてサポートしていきたい」

 ―最近は異業種やベンチャー企業との連携が目立っています。
 「IoTはスマホや車と違って、大手1社にまとまった数の部品を納めて大きな収益を上げられるようなビジネスが通用しない。多様な業態の企業とビジネスを進めるのはそう簡単ではないが、(アルプス電気の)技術やネットワークが役立てる部分は大きい。地道にしっかり対応していきたい」

 ―成長に向けて補完すべき部品や技術はありますか。
 「IoTビジネスを拡大するため、ソフトウエアの技術や人材が必要だと感じている。当社もソフト開発部隊がいるが、今は車向けだけで手が一杯だ。業務提携とM&A(合併・買収)、二つの可能性を考えている」

【記者の目・新分野で示す存在感カギ】
 財務体質が大きく改善し、スマホと車向けにより収益を上げるビジネスモデルが定着した。次の3年も好調さを維持できれば、売上高1兆円や電子部品事業の営業利益率2ケタ以上達成も難しくない。センサーの品ぞろえが豊富で通信関連の技術に強い点を生かし、IoTといった新分野で存在感を示していけるかがカギになる。
(聞き手=下氏香菜子)

日刊工業新聞2016年1月26日 電機・電子部品面

COMMENT

アルプスはスイッチなどの機構部品を持ち、入力デバイス全般に強みがある。センサーやハプティクス関連の技術にも強い。子会社のアルパインなどと連携しながら次世代自動車のヒューマンマシンインターフェースに生かそうとしている。栗山社長は業界における自社のポジションを「まだ5強1弱(京セラ、村田、TDK、日本電産、日東電工とアルプス電気)」といっていたが、IoT時代に重要なサプライヤーの1社であることは間違いない。スマホでTDKや村田といった受動部品メーカーとは異なり、カメラのピントを合わせるアクチュエーター、センサー、スイッチなどがメーン。足下の部品需要の減速感を懸念しながらも、背面カメラを2眼化する動きが出てくることなどが今後2ー3年は伸びると見ている理由。すでに今年発売する新モデルに搭載されるとみられる新型デバイス用の設備投資も実施。 (日刊工業新聞社第一産業部・下氏香菜子)

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