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しまむら社長「価値を認めれば買ってもらえる」

野中正人氏インタビュー。少し高めの商品も織り込む
しまむら社長「価値を認めれば買ってもらえる」

しまむら野中正人社長

 ―今年の景気をどう見ていますか。
 「景気は底堅く、良くなる期待感はある。悲観的には見ていない。中国経済減速の影響はそんなに大きくないはずだ。一方で小売店同士の競争は、もっと厳しくなっていく」

 ―家庭の財布のひもは相変わらず堅いですか。
 「同じモノで値段を上げたら売れるはずがない。ここが新しくなりましたと価値をつければ2900円のものが、1000円上がっても大丈夫。消費者が価値を認めてくれれば買ってもらえる」

 「例えば昨年、ツイード特集を組んだが、今までにない売り上げだった。高単価の商品も意外と売れる。しまむらでも直近、単価が8%、仕入れベースで10%ほど上がっている。単価が上がっている分、数量を抑え、商品レイアウトを工夫する」

 ―質的な充実を図るということですか。
 「昨年の下期からアイテムを絞り、1アイテム当たりの数を増やし、量を売る商品を増やすことを一部店舗でやってきた。今年3月以降、それを加速して、アイテム数は現在4、5万点あるが、3割削減する。全体の在庫数量は2割削減となる」

 ―アイテムや総在庫削減はどこで実験をしてきたのですか。
 「埼玉・南与野店で実験した。2割の数量削減で1割くらい売上高が伸びた。在庫、数量を減らしても売り上げが確保できることが分かった」

 ―それに伴って店舗運営の仕方を変え、店舗のローコスト化をさらに進めますか。
 「仕事を増やさずに運営できるようにして余裕を生み出す。あるべき形に売り場も直していく。これまで在庫の数が多すぎた。絞り込みでレイアウトを工夫し、ゆったり買い物ができるようにする」

 「また、店の作業量を減らす。機材、ハンガー陳列など売り場で、ありとあらゆる改革をやる。(一部店舗で)ある程度の形ができあがってきたので本格的に変える。売り場改革は月に100店ずつやっても1年かかる」

 「本社ではウェブEDI(電子商取引)を今年早々、新バージョンに移行する。使い勝手をよくしスピードを上げる。一定期間、旧システムと並行するが、ホストコンピュータも入れ替える。組織も売り場と仕入れを連動した形に統合する方針だ」
(聞き手=森谷信雄)
日刊工業新聞2016年1月26日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 しまむらの店舗は商品数の豊富さが一つの特徴だったが、アイテム数の絞り込みなど思い切った改革に着手する。絞り込みで質的な充実を図る方針だ。並行して売り場も什器や見え方を変えるなど数十年に一度の改革となる。

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