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半導体メモリー減速…シリコンウエハー需要予測で下方修正

SUMCOが見直し

SUMCOは2026年までの半導体メモリー向けシリコンウエハーの需要予測を3月時点から約3%下方修正した。インフレの進行やエネルギー価格高騰など世界経済の悪化懸念に伴い、スマートフォンやパソコンといった消費者向け電子機器の販売がスローダウンするとの見方が広がる。半導体ウエハー大手のSUMCOが予測を見直したことは、メモリー需要の減速を裏付ける格好だ。

需要予測は業績予想の前提となる数値。SUMCOはNAND型フラッシュメモリーやDRAMなどに使用する直径300ミリメートルポリッシュトウエハーの需要が月産ベースで当初予想比10万―15万枚減少すると試算する。追加供給を求めていた顧客に吸収される形で余剰は発生しないとみており、生産計画は見直さない方針だ。

橋本真幸会長兼最高経営責任者(CEO)は「メモリーの(生産)調整がウエハーまで影響するとは考えにくい」と強調。顧客在庫が増加に転じても、堅調な需要が継続し、需給緩和には至らないとの見方を示す。

メモリー向けウエハーの市場は08―26年に年平均6・3%ペースで成長し、25年に月産600万枚を超えると予測する。「26年までの当社顧客の要求数量に対し(メモリー、ロジック向け合わせて)同80万枚不足する見込みだ」(橋本会長兼CEO)とし、シリコンウエハーの供給不足は中長期で継続する公算が大きい。

ポリッシュトウエハーは3次元実装のための貼り合わせ用途など、新たな需要が出てきている。ただ23年以降に稼働予定のSUMCOの新工場は、生産能力の大半を先端ロジック半導体向けに充てる計画。そのため、メモリー向けの新たな長期供給契約には慎重姿勢を示している。

SUMCOは300ミリメートルウエハーでシェア25%程度を握るとみられ、信越化学工業に次いで世界2位。

日刊工業新聞2022年9月14日

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