スズキ、親離れで結婚相手探しは進むか
俊宏社長、他社との連携前向き発言。父・修会長の長期政権の弊害にも言及
スズキは21日、東京都内で会見を開き、鈴木俊宏社長が「環境や安全技術がますます重要になる中で、単独でやっていけるかは疑問だ。他社との連携はあり得る」と述べた。スズキは2015年に独フォルクスワーゲン(VW)との提携を解消。今後の提携戦略に注目が集まる中、他社との連携に前向きな姿勢を示した。
鈴木社長は自社について「長年のトップダウンで指示待ちの従業員が多く、技術や営業、生産などの部門が縦割りになっている」と指摘。今後は部門間の連携を深め「全体最適に向けて進むべき方向を定めないといけない」と、“チームスズキ”による経営基盤の確立を強調した。
企業文化の違いは大きかった。2009年に資本提携し”強者連合“と呼ばれたスズキと独フォルクスワーゲン(VW)の関係は、約4年におよぶ係争の末、8月末に終止符が打たれた。英ロンドンの国際仲裁裁判所の判断により両社は互いの株式を買い戻し、資本関係を解消した。
「最大の目的を達成できた」。鈴木修スズキ会長は提携解消発表の席で、満足そうな笑みを浮かべた。完全勝利とはいえない。スズキは約2200億円で売却した株式を4600億円で買い戻した。また仲裁は一部スズキの契約違反を認めており今後、損害賠償請求される可能性がある。
それでも、スズキにとって最悪のシナリオはVWに株式を保有され続けることだった。互いの関係は冷え切っている。株を買い戻せなければVWによるM&A(合併・買収)の危機にさらされ、他社との提携交渉もままならない。
鈴木会長は「いろいろ異質な企業がある。まだ経験不足だった」と率直に反省した。数々の修羅場をくぐり抜けてきたカリスマ経営者を持ってしても一筋縄ではいかなかった。提携解消は、文化や価値観の異なる企業同士の提携の難しさを浮き彫りにした。
提携解消後の両社は明暗がわかれた。スズキは16年3月期第2四半期決算で、純利益が過去最高を記録。一方、VWはディーゼルエンジンの排ガス不正問題の発覚で、過去最大級の経営危機を迎えている。
「離婚した人(VW)と再婚することはない」。鈴木会長はすでに前を向く。今後はスズキが買い戻した自社株の行方が焦点となる。物言う株主と呼ばれる米サード・ポイントがスズキ株を取得するなど、ファンドの動きからも目が離せない。
6月末に就任した鈴木俊宏社長は自社株について「年度内に方向性を出したい」と話す。スズキは効率的な小型車づくりに定評があり、成長市場のインドで50%近いシェアを持つ。新たな提携先にはトヨタ自動車など複数の名が上がっており、スズキの動きが新たな再編の導火線となる可能性がある。
(文=浜松・田中弥生)
鈴木社長は自社について「長年のトップダウンで指示待ちの従業員が多く、技術や営業、生産などの部門が縦割りになっている」と指摘。今後は部門間の連携を深め「全体最適に向けて進むべき方向を定めないといけない」と、“チームスズキ”による経営基盤の確立を強調した。
自社株「年度内に方向性を出したい」
2015年12月9日
企業文化の違いは大きかった。2009年に資本提携し”強者連合“と呼ばれたスズキと独フォルクスワーゲン(VW)の関係は、約4年におよぶ係争の末、8月末に終止符が打たれた。英ロンドンの国際仲裁裁判所の判断により両社は互いの株式を買い戻し、資本関係を解消した。
「最大の目的を達成できた」。鈴木修スズキ会長は提携解消発表の席で、満足そうな笑みを浮かべた。完全勝利とはいえない。スズキは約2200億円で売却した株式を4600億円で買い戻した。また仲裁は一部スズキの契約違反を認めており今後、損害賠償請求される可能性がある。
それでも、スズキにとって最悪のシナリオはVWに株式を保有され続けることだった。互いの関係は冷え切っている。株を買い戻せなければVWによるM&A(合併・買収)の危機にさらされ、他社との提携交渉もままならない。
鈴木会長は「いろいろ異質な企業がある。まだ経験不足だった」と率直に反省した。数々の修羅場をくぐり抜けてきたカリスマ経営者を持ってしても一筋縄ではいかなかった。提携解消は、文化や価値観の異なる企業同士の提携の難しさを浮き彫りにした。
提携解消後の両社は明暗がわかれた。スズキは16年3月期第2四半期決算で、純利益が過去最高を記録。一方、VWはディーゼルエンジンの排ガス不正問題の発覚で、過去最大級の経営危機を迎えている。
「離婚した人(VW)と再婚することはない」。鈴木会長はすでに前を向く。今後はスズキが買い戻した自社株の行方が焦点となる。物言う株主と呼ばれる米サード・ポイントがスズキ株を取得するなど、ファンドの動きからも目が離せない。
6月末に就任した鈴木俊宏社長は自社株について「年度内に方向性を出したい」と話す。スズキは効率的な小型車づくりに定評があり、成長市場のインドで50%近いシェアを持つ。新たな提携先にはトヨタ自動車など複数の名が上がっており、スズキの動きが新たな再編の導火線となる可能性がある。
(文=浜松・田中弥生)
日刊工業新聞2016年1月22日3面