理工系強化に100億円、文科省が私立大・国立大に異なる手だてで支援
文部科学省は2023年度から、デジタル、ITや脱炭素など成長分野の強化に向けた大学・高等専門学校の支援を始める。これら理工系の高度専門人材を増やすため、学部転換など大胆な再編に乗り出す大学などを、複数年度で支援する。基金化も視野に、23年度予算の概算要求に100億円を盛り込んだ。
新事業の支援メニューは①デジタルや環境など特定成長分野における学部の再編や定員変更②高専の機能強化③トップレベルの情報人材の育成―の三つだ。具体的には、再編で必要になる初期投資、教育プログラム開発や教員研修、さらに再編後の運営などの経費を後押しする。5―10年程度の集中支援で、実施主体は大学改革支援・学位授与機構になる見込み。
政府の教育未来創造会議が5月にまとめた第一次提言では、「自然科学系(医学など含む理系)の学生比率を、現在の35%から経済協力開発機構(OECD)諸国で最高水準の5割程度を目指す」としている。
現状を理工系の学部生に限ってみると17%に過ぎず、OECD平均27%と比べて見劣りする。
50年前には24%程度だったがその後、私立大学で文系の入学定員が大幅に増えたことが影響している。日本では先端IT人材の不足が30年に54万人超との予測がある。
また脱炭素を表明する自治体のうち9割が、外部人材の知見を求めているという。
リカレント(学び直し)教育を含めた高等教育の枠組みを変え、産業構造と労働需要のシフトに対応していく。
日刊工業新聞2022年8月29日