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住化は新工場300億円、素材メーカーが米国で半導体関連投資を活発化する背景事情

住化は新工場300億円、素材メーカーが米国で半導体関連投資を活発化する背景事情

住友化学は米テキサス州に半導体用プロセスケミカル工場を新設する(写真は韓国拠点)

日本の素材メーカーによる米国での半導体関連投資が活発化している。住友化学は1日、米国テキサス州に半導体製造工程の精密洗浄へ用いる化学品(プロセスケミカル)の工場を新設すると発表した。将来の拡張余地の獲得を含め、総投資額は約300億円。2024年度に稼働する。米国では半導体大手各社が新工場を計画し、世界市場平均を上回る高い成長が見込まれる。東ソーやJX金属なども米国で半導体材料を増産する方針で、この傾向はしばらく続きそうだ。(梶原洵子)

住友化学にとって米国初の半導体用プロセスケミカル工場となる。日本と韓国、中国に続き4カ国目。子会社の東友ファインケム(韓国)が、新会社のスミカ・セミコンダクター・マテリアルズ・テキサスを9月に設立する。資本金は1億3000万ドル(約180億円)。東友が70%、残りを住友化学と同社子会社が出資する。

新工場では原料の化学品から微小な不純物を取り除き、半導体の要求品質に対応する高純度化プロセスを行う。生産品目や生産能力は非公表。同工場から米国南部への供給をカバーする。「米国の旺盛な半導体材料需要を確実に取り込む」(中西輝執行役員)。

住友化学はアリゾナ州の化合物半導体拠点と合わせて、米半導体産業集積地の2州に拠点を持つことになる。

米国では半導体材料の増産計画が相次ぐ。東ソーは100億円を投じ、オハイオ州で薄膜形成材料のスパッタリングターゲット材を増産する。JX金属はターゲット材事業などの拡大のためアリゾナ州に用地を取得した。昭和電工は、韓国SKと半導体用高純度ガスの共同生産を検討している。

三菱ガス化学はオレゴン州の既存拠点などを活用し、超純過酸化水素を増産する。今後10年で米市場は3倍になると想定し、追従するには500億円規模の投資が必要とみる。

米政府は約7兆円の補助金を含む自国の半導体産業の支援を決めており、生産拡大投資を後押ししそうだ。住友化学は「支援法の詳細を見て、事業運営に支障がなければ申請する」(同)とする。

日刊工業新聞2022年9月2日

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