なぜ外資製薬会社はMeijiから「イソジン」を引き継いだのか
ムンディファーマ、日本で知名度高め大衆薬の新製品投入
米系製薬会社ムンディファーマの日本法人であるムンディファーマ(東京都港区)は、殺菌消毒薬「イソジン」シリーズの製造販売承認を、明治ホールディングス傘下のMeiji Seika ファルマ(東京都中央区)から承継する。OTC医薬品(大衆薬)については新製品の投入も計画している。大衆薬事業の拡充で自社の知名度を向上し、優秀な人材の確保につなげる狙いもある。
イソジンの有効成分であるポピドンヨードは同社グループが開発し、日本法人設立前の1961年に明治製菓(現Meiji Seika ファルマ)と提携。同成分を使った製品群を、明治がイソジンとして販売してきた。海外ではムンディグループが「ベタダイン」という商標で製品展開している。
日本のムンディは、Meijiからイソジンの大衆薬を今年3月31日に、医療用医薬品を8月1日に承継する。新たな提携先は塩野義製薬だ。大衆薬については、同社傘下で4月に営業を始める新会社のシオノギヘルスケアがイソジンの販売や流通を担う。
ムンディは今後2年以内に、日本で大衆薬の新製品を投入する。海外で販売されているが日本にはない商品を導入する方針。スプレータイプの傷薬や、女性のデリケートゾーン向け消毒剤が製品例としてあがっている。
ムンディは新製品発売をにらみ、提携の枠組みも変えた。明治と組んだ際は、「日本での事業基盤がなかったため、すべてをライセンスアウト(導出)した。当社は生産も販売もなかった」(木村社長)。今回の提携では自社が生産、マーケティング、商品開発を行い、塩野義が流通と販売を手がける。「こういう製品を出そう、となったときにデザインなどを自由に決められる」(同)と、機動性を発揮しやすくなった。
木村社長は、大衆薬事業の拡充により、「”イソジンのムンディ“としてブランド力を高めていきたい」とする。製薬業界では競争力強化の観点から、事業の選択と集中が相次ぐが、大衆薬部門は知名度向上に有益との理由で維持する企業も多い。医療用医薬品とは異なり、テレビCMを活用した商品の宣伝ができ、一般の人や若年層にも社名を知ってもらうことにつながる。
同社はイソジン以外でも、がん領域などの医療用医薬品事業の強化を掲げている。現在約50人の社員数は2―3年後に100人以上になる公算が大きい。「新卒採用も当然検討していく」(同)としており、ブランド力強化との相乗効果が注目される。
(文=斎藤弘和)
イソジンの有効成分であるポピドンヨードは同社グループが開発し、日本法人設立前の1961年に明治製菓(現Meiji Seika ファルマ)と提携。同成分を使った製品群を、明治がイソジンとして販売してきた。海外ではムンディグループが「ベタダイン」という商標で製品展開している。
塩野義が販売担う
日本のムンディは、Meijiからイソジンの大衆薬を今年3月31日に、医療用医薬品を8月1日に承継する。新たな提携先は塩野義製薬だ。大衆薬については、同社傘下で4月に営業を始める新会社のシオノギヘルスケアがイソジンの販売や流通を担う。
ムンディは今後2年以内に、日本で大衆薬の新製品を投入する。海外で販売されているが日本にはない商品を導入する方針。スプレータイプの傷薬や、女性のデリケートゾーン向け消毒剤が製品例としてあがっている。
ムンディは新製品発売をにらみ、提携の枠組みも変えた。明治と組んだ際は、「日本での事業基盤がなかったため、すべてをライセンスアウト(導出)した。当社は生産も販売もなかった」(木村社長)。今回の提携では自社が生産、マーケティング、商品開発を行い、塩野義が流通と販売を手がける。「こういう製品を出そう、となったときにデザインなどを自由に決められる」(同)と、機動性を発揮しやすくなった。
新卒採用も
木村社長は、大衆薬事業の拡充により、「”イソジンのムンディ“としてブランド力を高めていきたい」とする。製薬業界では競争力強化の観点から、事業の選択と集中が相次ぐが、大衆薬部門は知名度向上に有益との理由で維持する企業も多い。医療用医薬品とは異なり、テレビCMを活用した商品の宣伝ができ、一般の人や若年層にも社名を知ってもらうことにつながる。
同社はイソジン以外でも、がん領域などの医療用医薬品事業の強化を掲げている。現在約50人の社員数は2―3年後に100人以上になる公算が大きい。「新卒採用も当然検討していく」(同)としており、ブランド力強化との相乗効果が注目される。
(文=斎藤弘和)
日刊工業新聞2016年1月22日 モノづくり面