自動運転車を支える、KYBが開発した「ふらつき」を半減するシステムの全容
KYBは自動運転車の揺れや動きを瞬時に予測し、レーンチェンジなどで生じるふらつきを半減するパワーステアリング(PS)制御システムを開発した。自動運転車が目標軌道を正確に追従できるようにする。乗員の快適性と安全性を向上する効果が期待できる。自動車メーカーに提案し、2025年ごろに量産車に搭載されることを見込む。
走行ルートの情報や車両のショックアブソーバー(SA、緩衝器)の振動を分析することで揺れや動きを予測する。システムが運転操作する「自動運転レベル3」以上の車両に搭載する。国内初の実用化になる見込み。
SAとPSの統合制御技術を応用して開発した。走行ルートの情報は地図情報などから設定されたデータを用いる。横揺れはSAに搭載したストロークセンサーで検出する。
自動運転車はカメラやセンサーを用いて地図情報に記憶されている目標軌道を追従するようPSを制御するが、指令に対して機械的な要因によって応答遅れが生じる課題があり、それがふらつきの要因になっていた。
例えばレーンチェンジでは、操舵(そうだ)の切り遅れ、戻し遅れがふらつきの要因となり、搭乗者は違和感として感じるとみられている。統合制御で応答遅れを補い、操舵を補正する。
テストコースでの走行試験では時速30キロメートルで片輪が10センチメートルの段差に乗り上げたとき、発生するふらつきを最大54%低減した。
ティアフォー(名古屋市中村区)がオープンソースとして公開する自動運転の基本ソフト(OS)「オートウェア」を使った軌道追従試験では時速60キロメートルでスラロームを走行したとき目標軌道との誤差を最大で65%減らすことができた。
富士キメラ総研(東京都中央区)によるとレベル3以上の自動運転車の世界生産は30年に1013万台、45年に4898万台まで増えるという。中国百度(バイドゥ)が特定条件下で完全自動運転が可能なレベル4の車両を23年下期にも量産する方針を示すなど開発競争が激しい。