建機業界で進む脱・中国、住友建機も「油圧ショベル」依存度引き下げ急ぐ
住友建機は油圧ショベル事業で中国依存度の引き下げを急ぐ。2022年1―6月期の中国市場での油圧ショベル売上高は72億円で、前年同期比約68%減少。全売上高に占める中国比率も前年同期の29%から11%へ急落した。影響を抑えるため、唐山工場(河北省唐山市)で製缶品の生産の比重を高め、千葉工場(千葉市稲毛区)やフル稼働が続くインドネシア工場向けに供給。併せて中国国内メーカーから調達していた板金部品や溶接部品を内製化し、操業度の低下を防ぐ。
建設機械メーカーではコベルコ建機が中国の2工場を1工場に集約する再編計画を6月に発表済み。建機業界全体で脱・中国の動きが進みそうだ。
日本建設機械工業会(建機工)によると、中国向けの出荷金額比率は10年度の12・3%から21年度は0・7%へ激減した。08年のリーマン・ショックで欧米を中心に世界の建機需要が急減した一方、中国は公共投資による景気刺激策をとったことが「中国詣で」を加速させる契機になった。
ただその後、中国は国産化政策を進めたのに加え、三一重工に代表される低価格品の攻勢もあり市場の「うまみ」は低下。近年はさらに不動産市況下落とコロナ禍直後の過剰生産の在庫が重なり、市場規模は急減している。コマツも日立建機も、中国の売上高比率は22年度は3%にとどまる見通しだ。
建機各社は市場低迷と低価格競争が続く中国を避け、高付加価値品や値上げで高収益が見込める欧米に比重を移す。住友建機も22年度の中国比率は10%以下と1ケタ台に低下する見通しだ。
【関連記事】 建機メーカーが大注目する異色のレンタル会社
日刊工業新聞2022年8月31日