増える利用者…JR東海が駅構内ワークスペース拡大、新幹線との相乗効果なるか
JR東海が駅構内などにある個室型のワークスペース「エクスプレスワークブース」の設置を増やしている。設置済みの東京や名古屋駅で増設するほか、品川駅など全国6駅で新設する。2021年12月から稼働しているが、稼働率が7割を超えるブースもあることから新増設を決めた。新幹線の利用者数がコロナ禍前の水準に戻らない中、ビジネスパーソンなどの利便性向上につなげ、新幹線との相乗効果を狙う。
「お客さまからの評価として『秘匿性の高い仕事がしやすい環境で助かる』『ネットで事前に予約できるので予定の時間に利用できる』といった声をいただくなど利用者が増加している」。JR東海の金子慎社長は新増設の理由をこう説明する。
エクスプレスワークブースは東京、名古屋、京都、新大阪駅に設置しており、利用者の多い東京・名古屋駅では9月に1台ずつ増設してそれぞれ3台にする。さらに年内に品川、新横浜、三島、静岡、浜松、豊橋の6駅に新たに2台ずつ新設する。これで東海道新幹線「のぞみ」だけでなく、「ひかり」の主な停車駅でも利用できる。
料金は従量課金制で20分275円。無料の会員登録だけで利用でき、年会費は必要ない。同社の担当者によると例えば名古屋駅構内のブースは、「9―18時のコアタイムで平均7割程度の利用率と大変好調」だといい、予約を取りづらいこともあるという。
設置場所はいずれも利用者の多い駅構内や駅直結のオフィスビルなどで利便性が高い。新幹線の乗降車の直前直後でウェブ会議やテレワークができるなど、出張利用のビジネスパーソンと相性が良いのも特徴だ。担当者は「新幹線を利用する前の隙間時間を有効に使ってもらえれば」と話す。
同社はブース以外も新幹線利用者などが働きやすくなるビジネス環境の整備に力を入れている。「のぞみ」7号車をビジネス専用車両に設定して通話やウェブ会議などを認めているほか、「N700S」では通常の2倍の容量のWi―Fi(ワイファイ)サービスの提供やノートパソコン用ACアダプターなどビジネスツールの貸し出しもする。
また、「N700S」の一部編成には打ち合わせなどに利用できるビジネスブースも設置した。さらに東京駅直上の「丸の内中央ビル」には家具付きの月額賃料の小規模レンタルオフィスや従量課金のシェアオフィスも稼働している。
新幹線の出張利用者がコロナ禍前に戻るのが難しい中、新幹線との相乗効果の高いビジネス環境を強化し、利用者の増加と満足度の向上を目指す。