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東海道新幹線「N700S」、走行中の電圧低下解消へJR東海が一手

東海道新幹線「N700S」、走行中の電圧低下解消へJR東海が一手

電圧低下を抑えるソフトを改良することで、新幹線側で電圧維持が可能になる(イメージ)

JR東海は走行中の新幹線の電圧低下を抑えるソフトウエアを東海道新幹線「N700S」の20編成に搭載し、2023年2月まで機能確認試験を実施する。22年度末までに導入予定のN700Sのうち、約半数に当たる。新幹線は走行中に電圧が低下する課題があり、沿線の変電所内に設置した「電力補償装置」で電圧を維持していた。ソフトウエアを改良することにより新幹線側で電圧維持が可能になり、同装置や変電所の削減につながる。

集中する時間帯は平均5分に1本という高密度で運行する東海道新幹線は、列車本数が増えるにつれて電圧が低下し、安定運行に必要な電圧を維持できなくなる恐れがある。このため、沿線に電力補償装置を設置し、電圧の低下を抑制するなどの対策をとっているものの、維持費やメンテナンスの手間などが課題になっていた。

今回、N700Sに搭載する主変換装置のソフトウエアを改良し、電流の位相の遅れを小さくすることで架線の電圧低下を抑制する機能を新たに搭載した。車両側で架線電圧を維持する機能は世界初だという。

電力補償装置は沿線に現在、21台設置している。東海道新幹線の全編成にこのソフトウエアを導入すれば、このうち12台を削減できる見通しだ。併せて変電所の約1割も削減が可能となる。年間で約2000万キロワット時の電力使用量を削減できると推定しており、電気料金約3億円と、二酸化炭素(CO2)約1万トンの排出量を削減できると見込んでいる。


日刊工業新聞2022年8月25日

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