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噂のコンタクトベンチャー「第4の視力矯正治療の地位目指す」

ユニバーサルビュー・鈴木太郎社長インタビュー。眼科領域に強い米国の大手医療機器メーカーと提携へ
噂のコンタクトベンチャー「第4の視力矯正治療の地位目指す」

ユニバーサルビュー社長の鈴木太郎氏

 医療分野では、画期的な技術でも、その技術革新の強みだけで成功できるわけではない。眼科領域に特化した医療機器ベンチャー企業、ユニバーサルビュー(東京都千代田区)の鈴木太郎社長に戦略を聞いた。

 ―主力商品のコンタクトレンズ「ブレスオーコレクト」は、どのような商品なのですか。
 「オルソケラトロジー治療の一つで、この角膜矯正用コンタクトレンズを就寝時につければ、睡眠中に角膜の形状がわずかに平らに矯正される。起床時に外して、日中は裸眼で過ごせる。当社が東レと組み、同社の素材を使って割れにくく酸素透過性の高いレンズにした。眼鏡、コンタクトレンズ、レーシック(手術)に続く第4の視力矯正治療の地位を目指す。外せば角膜形状は元に戻るため、やめたい時にやめられる安心感もある」

 ―第一種医療機器製造販売業許可を持ち、ブレスオーコレクトも薬事承認済みです。ヘルスケア領域ではない、医療への”本気度“の現れですね。
 「薬事承認取得は重視した。申請から承認取得までは、結果的に1年半という短期間で取得できた。割れにくく酸素透過性が高いことは、眼科医・装着希望者双方から求められる点を満たしている。ただ、認知度はまだ低い。医師が扱いやすいように、60種類のレンズセットから適するレンズを選び出す支援ソフトウエアを開発した。同ソフト搭載済みタブレット(携帯型情報端末)とセットで拡販ツールにする」

 ―ベンチャー企業としての販売面での工夫は。
 「自社でできることを見極める。ブレスオーコレクトは、東レを総販売元とし、当社は販売代理店の一つ。東レというブランドは、国内はもとより海外でも信頼されている。アジアでは東レと組んで拡販する契約を結んだ。さらに2017年には、ピンホール効果による度数のないレンズの日本発売を目指す。また、眼科領域に強い米国の大手医療機器メーカーと提携し、巨大市場・米国で販路を確保する計画だ。ピンホールレンズ以外にも開発品があり、要所要所でマイルストーン(里程標)として、開発成功報酬を得ていく」

【チェックポイント・複数出資受け成長軌道に】
 医療分野は、自社の強みと戦略をよく見極めなければベンチャー企業には難しい領域の一つ。安全性や有効性の確保も重要だ。こうした点でユニバーサルビューの事業展開は、同種のベンチャーの先行事例になりそう。見川素脩取締役が01年に創業し、鈴木社長が加わったのが06年。つなぎ資金獲得に苦労した時期もあったが、近年はエムスリーや産業革新機構から出資を受け、成長軌道に乗りつつある。
(聞き手=米今真一郎)
日刊工業新聞2016年1月19日 モノづくり面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
鈴木さんにはお会いしたことはないが、このベンチャーはほんとに海外でスケールしてもらいたい。

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