鹿島・大林組は営業減益、清水・大成は営業増益…ゼネコン大手決算それぞれの要因
ゼネコン大手4社の2022年4―6月期連結決算が出そろい、鹿島、大林組の2社が営業減益となった。土木工事は堅調だが、建築工事は厳しい競争環境下で受注した不採算案件が見られ、採算悪化を招いている。ただ、売上高は再開発プロジェクトや大型の土木工事など手持ち工事の消化が進み、大林組を除く3社が増収。清水建設、大成建設は土木工事の採算改善や好調な開発案件が加わり、大幅な営業増益となった。
土木・建築工事の採算性を示す完成工事総利益率(単体)は、全社で悪化した。鹿島は土木・建築とも落ち込み、前年同期比1・5ポイント減の9・4%に。大林組は土木が大きく改善した半面で建築が悪化し、同0・3ポイント減の8・0%となった。清水建設と大成建設も土木の改善が建築の悪化に引きずられ、それぞれ同0・4ポイント減の5・5%、同0・1ポイント減の7・2%となった。
ただ、建設資材の高騰を受けた契約価格への転嫁は進んでいるようだ。遅れていた民間の建築工事でも「発注者と協議を進め、価格転嫁が難しい場合はバリューエンジニアリング(VE)やコストダウン提案によって差額の解消を試みている」(清水建設)。大成建設も「現時点で全額の転嫁は厳しいが、発注者より一定のご理解はいただいている」との感触を示す。
一方、各社とも23年3月期連結業績予想を据え置いた。手持ち工事の進捗(しんちょく)は順調で、清水建設は再開発プロジェクト、大成建設は製造業の工場や物流施設などをけん引役とする。土木工事のさらなる採算改善にも着手。清水建設は「設計変更に伴う追加工事の獲得を目指す」とし、大成建設も「工程の進捗に合わせ原価低減と追加変更を獲得する」ことで通期目標達成を見込む。
建設業界では3月期末に利益が計上される工事が多く、例年4―6月期の利益は落ち込む傾向にある。特に前年の21年は、国内の建築工事で激化した受注競争や大型土木工事採算悪化が響き、全社が営業減益に陥った。今期はやや持ち直した格好だが、水準は低いまま。4―6月の建設受注高には回復の兆しも見えるが、利益への寄与には時間を要しそうだ。