研究大学支援の両輪、予算要求含む目玉が見えてきた!

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文部科学省は2023年度に共同利用・共同研究機能を持つ研究組織が、地域の中核大学と新分野開拓の共同研究を行う支援事業を始める。大型研究機器を持つ「大学共同利用機関」法人や、認定された各大学の「共同利用・共同研究拠点」のハブ機能を、運営費交付金と異なる形で強化する。「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」の23年度予算概算要求の目玉として、予算規模も注目されそうだ。

新事業は大学共同利用機関などのハブ機能を大幅に強化し、各機関が持つ施設群やデータ基盤などを生かした共同研究を支援する。全国の国公私立大の研究者の学術基礎研究に新たな展開をもたらし、学際的な研究の新分野を創成するのが狙いだ。

従来の「国立大学運営費交付金等」での活動とは異なる、別の事業予算で、意欲的な機関を支援する点もポイントだ。新分野創成に有望な全国の大学の研究者をつなぐ部分では、大学のリサーチドミニストレーター(URA)らの活躍が期待できる。研究開発法人など、他の研究機関の巻き込みもありそうだ。

「大学共同利用機関法人」は国立情報学研究所、分子科学研究所、総合地球環境学研究所など計17機関をまとめた4法人がある。「共同利用・共同研究拠点」は、国立大の付置研究所など100程度の認定がある。

いずれも全国の大学などを支える役割があるが、対象が研究大学の研究者や特定分野の学術コミュニティーに偏ったり、ハブ機能が弱かったりする問題を抱えている。運営費交付金が活動基盤だが、これまでの大学改革では、十分に手が入れられていないという側面もあった。

文科省、「国際卓越研究大」で基本方針

10兆円大学ファンドに連動する「国際卓越研究大学法に基づく基本方針」の策定に向けた方向性が固まった。申請大学の変革への意思とコミットメント、大学独自基金の造成計画を重視。助成額は各校の、外部資金獲得実績と大学ファンドへの拠出状況で決める。支援期間は最長25年、支援継続に向けた評価は6―10年ごとだ。方針は今秋の同法の施行に合わせ決定される。

文部科学省科学技術・学術審議会の大学研究力強化委員会で3日、議論された。地域中核大学向けの新事業と合わせ、研究力強化の両輪が具体化した。

国際卓越研究大学は段階的に、計数校を選ぶ。世界トップレベルの研究大学をベンチマークしてもらい、研究力、事業・財務戦略、ガバナンス体制を三つの観点とする。

研究力の定量基準は「総論文数」「被引用数トップ10%論文数の、総論文数に占める割合」のほか、研究成果活用の実績で「民間からの研究資金などの受入額」、これを支える財政基盤で「収入から経常的補助や学生納付金を除いた額の、収入に占める割合」だ。それぞれ現状と将来見込みの数字を求める。

10兆円ファンドvs地域・特色振興パッケージ… 研究重視のすべての大学に好機あり

日刊工業新聞2022年8月4日

COMMENT

山本佳世子
編集局科学技術部
論説委員兼編集委員

地域中核大学における研究支援として、大学共同利用の仕組みを使った異分野融合、学際領域研究の計画はとてもおもしろい。大学ごとに補助金を付けるのではなく、学術コミュニティーとそこに所属する研究者個人が提案する研究計画を、共同利用の拠点を通じて支援する仕組みだ。地域・中小規模大学で手薄になりがちな、学術基礎研究の底上げ、かつ新展開になると期待する。10兆円ファンドの方は、国際卓越研究大学法が初夏に成立。年内に公募開始という予定に合わせ、記事で挙げた基本方針を決定&同法施行が秋というスケジュールになっている。

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