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人力車はなぜ引きやすいのか。町工場がこだわる1ミリのズレ

 ハブにスポークを通し、リムの穴に通す。リムの穴に通したスポークをニップルで締めて組む。そうして41インチの車輪が出来上がっていく。スポークの張り具合がリムのバランスに関わってくるため、丹念に張りの調整を行う。

人力車製造・販売を行うくるま屋は1998年に創業。時代に合わせた人力車メーカーとして、LEDスケルトン型やスケルトンタイプの東京スカイツリーモデルなど13種をそろえる。人力車1台を完成させるまでに1カ月半程度かかる。

車夫として人力車を引いた経験もある松岡文武社長は、顧客目線だけでなく引き手のことも考え、人力車の「引きやすさ」を意識する。「引きやすくするには、車輪部分と胴体(座席部)のどこにかじ棒を付けるか、バランスをとることが重要」と松岡社長。「1ミリメートルズレただけで引き加減が変わる」と話す。胴体を製作する時には「見た目と手の感触」で微調整を行うこともある。
<会社概要=くるま屋>
▽社長=松岡文武氏▽所在地=東京都台東区、03・5827・0333▽売上高=3500万円▽従業員=4人(パート含む)▽設立=2008年(平20)3月
※日刊工業新聞では毎週火曜日に「モノづくり支える町工場の技」を連載中
日刊工業新聞2016年1月19日 中小企業・地域経済面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自動運転車の開発が進む一方で、こういうアナログが残っていくのはとても大切。す

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