「ヒューマノイドとトヨタは同じ課題に直面している」ギル・プラット氏、直撃第2弾

トヨタAI新会社CEOに聞く「自動運転もロボットも現実世界のモノを見て、手に取り学ぶ段階にある」

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ギル・プラット氏
 トヨタ自動車が1月、AI開発のために立ち上げた米トヨタ・リサーチ・インスティチュート(TRI)では、ヒューマノイドの第一人者であるギル・プラットCEO(最高経営責任者)が研究を率いる。ヒューマノイドはソフトとハードの先端技術を統合する分野だ。TRIで車や家庭用ロボットとAIを融合させる。予期しない事態に対処するAIや、AIの判断プロセスを可視化する技術を開発する。実現すれば車やロボットなど、あらゆる機械の知能化に応用できる。AI研究の世界動向についてプラットCEOに聞いた。

 ―ヒューマノイドはロボット研究の最高峰の一つです。なぜ、いまトヨタでAIを研究するのでしょうか。
 「トヨタは非常に懐が深く、ヒューマノイドとトヨタは同じ課題に直面している。ロボットも自動運転車も、体はある程度できていて課題は頭脳にある。ハードを作ってセンサーを載せるのは簡単だ。だが対象の認識や学習、行動計画、移動計画などソフトを進歩させなければならない」

 ―前職の米国防高等研究計画局(DARPA)で率いた災害ロボット競技会も同様でしたか。
 「競技会では人型や多脚型など幅広いロボットが提案された。優勝した韓国チームはハイブリッドだ。ロボットの見た目が注目されたが、外見は本質ではない。人とロボットをつなぐソフトが最も重要だ。競技会では通信を制限し、操縦者とロボットを分断した。ロボットを自律化し、人とロボットが互いに相手の状況や意図を考えて対応する。実は転倒など失敗の最多要因はヒューマンエラーだった。インターフェースのソフトで人のミスを排除できずロボットは倒れた」

 ―AIはディープラーニング(深層学習)の画像識別率で人間を超えましたね。
 「クラウドロボティクスと深層学習を組み合わせ、ロボットは視覚を手に入れたといえる。センサーやカメラで捉えた対象が何か、初めて人並みに認識できるようになった。カンブリア紀の生物は視覚を獲得し、多様性が一気に広がった。このカンブリア爆発がロボットでも起ころうとしている。AIやロボットは現実世界のモノを見て、手に取り学ぶ段階にある。自身の動作の結果を予測して、行動を計画できるかが次の焦点だろう」
(聞き手=小寺貴之)

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(トヨタ自動車提供)

日刊工業新聞2016年1月18日 モノづくり面

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明豊
デジタルメディア局
局長

自動運転車やスマートホームなどの導入でカギとなるのは各端末からデータを集めて学習する「クラウドロボティクス」。しかし各端末から集まるデータは不ぞろいだ。データから各端末に共通する行動や法則を見つけ、学習効果を共有する仕組みを築けるか。

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