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不振のヨーカ堂「店舗閉鎖すればという単純なものではない」セブン&アイ社長の胸中

村田紀敏氏インタビュー。地域統合?「今は他社との連携が効果的」
不振のヨーカ堂「店舗閉鎖すればという単純なものではない」セブン&アイ社長の胸中

セブン&アイ・ホールディングス村田紀敏社長

 ―アベノミクスの評価はいかがですか。
 「デフレ脱却は難しいが、安部晋三政権になってきっかけはできた。問題は次のステップだ。経済成長戦略、消費刺激策に期待したい」

 ―来年は消費税10%への引き上げがあります。
 「8%、10%という2段階ではなく一気に10%に引き上げればよかった。消費は良くないので引き上げはインパクトがあると思う」

 ―イトーヨーカ堂の業績が不振です。
 「総合スーパー(GMS)はワンストップショップの強みはあるが、もはや自社だけではできない。強いところと、カバーしきれないところを考え、補完してもらう戦略をとる」

 ―ヨーカ堂などで個店に権限の委譲を進めています。
 「グループ全体で個店対応を強化しているが、ヨーカ堂は一部で提携先スーパーと情報共有化を進めている。北海道はあまり景気がよくないが(提携先の)ダイイチと一緒に地域性を強化したところ、帯広店は全店トップの伸び率となった。今後地域に根差した商品を組織的に仕入れ、販売する体制を作る。東北はヨークベニマル、関西・中国は天満屋、万代と情報を共有化する」

 ―先行きは地域統合もありますか。
 「それは先の話だ。今は他社との連携が効果的だ」

 ―オムニチャネルがスタートしました。
 「弊社的には順調だが、マーケットからいろいろ指摘もある。問題は商品作り。ネット専用商品なども開発している。方向性の芽が見えてきた。ロフトなどは順調だ。情報と商品の両面で発信し、店舗にも誘導されている。コンビニ店頭での受け取りを一回利用した人はリピーターになりやすい。多い店で1日30件くらいの受け取りがある」

 ―米サード・ポイントが株式を大量に保有しています。
 「投資家だから、いろんな意見を持っていると思う。ただ(指摘されるヨーカ堂の改革は)私たち自身の考えで改革を進める。過去、リストラ策を出し閉鎖を含めやってきた。切れば改革になるのかというとそんな単純なものではない。来期は黒字化が大前提だ」

【記者の目・ヨーカ堂改革、正念場】
 業績が好調なコンビニエンスストア事業に対し、GMSのイトーヨーカ堂は不振が続く。地域対応の徹底と商品政策の改革などで、自社で手がけるところとそうでないところのメリハリをつけ、GMSの浮上を目指す戦略だ。ヨーカ堂の改革は今年が正念場だ。
(聞き手=森谷信雄)
日刊工業新聞2016年1月18日生活面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
セブン&アイはコンビニエンスストアが好調ですが、ヨーカ堂は苦戦しています。ヨーカ堂については不採算店を閉鎖すれば、収益が好転するという指摘も多いようですが、村田社長は「そんな単純なものではない」と反論しています。GMSの再生は本当に難しいようです。

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