農業スタートアップが「ミートボール」の石井食品と導き出す食品ロス問題の解決策

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かっこ良く稼げる農業を目指すロックファーム京都の従業員

ロックファーム京都(京都府久御山町、村田翔一社長)は石井食品と連携し、通常なら商品化しない「B級品」のトウモロコシをスープに加工して販売している。食べられるにもかかわらず捨てる「食品ロス」の削減にとどまらず、農業の魅力向上にも貢献する。2019年に起業したロックファーム京都と看板商品の「ミートボール」を持つ石井食品。新興と老舗企業の組み合わせが課題解決策を導き出す。

とろっとしたスープは甘くて、冷えたまま飲める。石井食品が販売する「京都舞コーンスープ」だ。粒がふぞろいだったり、打痕があったりするB級品のトウモロコシをスープ状にして袋につめて商品化した。1袋540円(消費税込み)だが、新発売した20年は1分で500袋も売れた。

ロックファーム京都のトウモロコシから作ったスープ「京都舞コーンスープ」

「せっかく育てても食べられず、心が傷んでいた」。ロックファーム京都営業部の千葉楓さんは残念がる。同社は白いトウモロコシを栽培する。果物以上の甘さと生のまま食べられる鮮度が自慢だ。品質管理も徹底しており、A級品しか販売しない。価格を下げてB級品を売る選択肢もあるが、ブランドを損なうため流通させてこなかった。

そこまでこだわるには理由がある。今、農業を家族に継がせない高齢生産者が増えている。育てた野菜が買いたたかれ、収入が増えない苦労をさせたくないからだ。その課題を知った村田社長は消防士を辞め、「若い人が働きたいと思う農業に変えたい」と起業した。「農業の価値を上げ、かっこ良く稼げるようにする」をモットーに品質に見合った適切な評価を求めており、B級品でも値下げは許さない。

加工したスープなら食品ロス削減とブランド維持を両立できる。しかも加工食品にすることで多くの消費者に味わってもらえる。石井食品の営業担当者も農業の担い手不足に危機感を抱いており、村田社長にスープの商品化を提案した。同社も本業を通じて農業の課題解決と食品ロス削減に貢献できる。

農業以外の業界でも課題解決を志して起業した会社が増えている。既存企業と新興企業の組み合わせは、新商品開発や課題解決の化学反応を起こす可能性を秘めている。

日刊工業新聞2022年7月22日

COMMENT

松木喬
編集局第二産業部
編集委員

スープを飲みましたが、本当に甘かったです。石井食品さんのつながりで農業関連の記事を執筆する機会が増えています。それにしても「イシイのおベントくんミートボール」「チキンハンバーグ」だけはなく、産地の野菜を使った加工食品も美味しいです。すべてにストーリーもあります。

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