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グノシー創業者・福島氏「BtoB決済にペイペイの顧客体験を作る」

ニュース配信アプリのグノシーの創業者、福島良典氏が代表を務めるレイヤーX(東京都中央区)は26日、法人カード事業を始めると発表した。バーチャルカードとして提供し、部署や名目ごとにカードの利用を使い分けできる機能をつける。年内にも利用明細の情報などを会計サービスソフトウエアと自動連携する機能も導入する。2023年8月までに1000社への普及を目指す。

福島代表は「BtoB決済におけるペイペイのような顧客体験を作る」と目標を掲げる。同社は請求書管理や経費精算などのソフトウエアを展開する。今後の事業展開について聞いた。

-「BtoB決済で顧客体験を高める」ことを以前から目標にしています。その真意を教えてください。

普段の生活で決済が自動処理されない場面はない。ECサイトで購入するたびに自分で決済金額を入力したり、クレジットカードが使えず、毎回コンビニで振り込みをすることになれば、利便性は大きく下がるのが想像できるだろう。しかしtoBにおいてはほとんどの決済が請求書や手形で行われ、toCでは当たり前の決済ができない。ここを解消したい。将来はtoCのような「自然な決済」を企業間で実現したい。決済の利便性を高めることはミスを減らすだけでなく、経理における確認業務を減らすことにもつながる。

-法人カードの位置づけや差別化点は。

一つはソフトウエアを使ってカードを管理できることだ。これまではカード番号などを会社側が管理することで成り立っていた。どうしても物理的に管理することを前提にしているため、無制限にカードを発行することなどは難しかった。今回のバーチャルカードは利用用途に応じて発行できるようにした。利用者や名目ごとに決済できる金額の制限も容易にできる。年内にも経理ソフトとの連携機能を追加する予定だ。これによって、申請などの前工程と精算の後工程が業務的に分断されている状況を解消しつつ、経理業務の効率化を目指す。

米国では法人カードとソフトウエアが統合する風潮が進んでおり、間違いなく日本でもこの流れが来るはずだ。我々は展開するSaaS(サービスとしてのソフトウエア)「バクラクシリーズ」と法人カードの組み合わせでこの流れを押さえていく。

-とはいえ、経理業務のデジタル化はプレイヤーも多く、普及の難しさもあるのではないでしょうか。

請求書や経費精算の受付からデータ入力、決済手段まで手がけるプレイヤーは少ない。法人の支出管理を一括で行いたいというニーズを獲得していく。

また、各種プロダクトは単体で使っても利便性が高く、組み合わせるとさらに良いという設計にしている。実際に請求書の課題を解決したいなど、特定のニーズ解決から導入開始後、他のプロダクトの導入が決まるケースもある。こうした「クロスセールス」の割合が高い。現段階で2000社が導入しており、23年3月までに「バクラクシリーズ」で3000社の導入を目指している。

福島代表(取材はオンラインで実施)

-申請から決済まで一連のプロセスで製品を展開していくことになりますが、将来の展開について。

今は決済業務全体をいかに効率化するかに注力しているが、将来は購買業務を効率化したいと考えている。米アマゾン・ドット・コムの「マーケットプレイス」のように最適な購買をAIやアルゴリズムで支援する。例えば出張申請と同時に、価格などが最適な航空券が手配されるようなイメージだ。我々が生活で使う予約サイトの機能を企業活動の中に取り組んでいく。このサービスを5年以内には実装していきたい。これは我々がやらなくても、他の企業が行うくらい自然な流れだ。

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