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発明を認め合う社会-中小・中堅企業の発明応募、受付中

応募締め切りは9月30日、表彰式は来年3月中旬

中堅・中小企業を対象とした発明の表彰制度の中では、最も長い歴史を持ち、関係諸官庁からも支援されるとともに、広く一般からも高い評価をうけている「発明大賞」。今年で第48回を迎える同表彰は、全国の中堅・中小企業の発明を発掘し、その功績を広く認知すべく実施されている。学識経験者による厳格な審査を経て受賞した企業は、関係諸官庁からの信頼が厚い。かつて受賞した企業は経済産業省主催「ものづくり日本大賞 内閣総理大臣賞」や文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞するなど、発明大賞をはずみに飛躍した企業も多い。

応募対象は中堅・中小企業(資本金10億円以下の企業)、及び個人またはグループで、案件は特許・実用新案を登録済み、または公開された発明考案とする。

「発明大賞本賞」「発明大賞東京都知事賞」「発明大賞日本発明振興協会会長賞」「発明大賞日刊工業新聞社賞」にそれぞれ1件のほか、「発明功労賞」「考案功労賞」「発明奨励賞」「発明育成賞」として複数件を表彰する。応募締め切りは9月30日(当日消印有効)。表彰式は来年3月中旬に東京都内で予定している。

 応募などの問い合わせは、(公財)日本発明振興協会(03・3464・6991)へ
 発明大賞公式ページ

前回(第47回)の主な受賞企業と製品・技術のポイントは下記の通り。

【本賞】メニエール病の症状の治療ができる可搬可能な装置=第一医科(代表取締役・林正晃氏)

鼓膜の切開が不要な非侵襲の治療を可能にした中耳加圧装置。空気圧波動を外耳道から導入し、鼓膜を介して耳小骨を振動させることで、内耳に蓄積された内リンパ液の排出を促す。小型軽量で専門医のもと患者自身で操作が可能である。

内耳の感覚器が内蔵されている内リンパ腔内の圧が高まることで、難聴や耳鳴りなどを伴うめまいが反復して起きる難治性の「メニエール病」の治療に高い有効性を示している。

空気圧波動の継続時間や圧力、パルス幅、周波数が調整可能で、最適な条件を設定できる。装置は2017年に薬事承認され、18年に保険適用された。(第一医科=東京都文京区)

【東京都知事賞】トルク可変式回動制動装置=TOK(製品開発センター長・高橋大輔氏)

360度以上の連続回転を伴う場合に、制御力を大きくしたり小さくしたりして、速度制御可能なダンパー。ブラインドの昇降装置として利用した場合、ブラインドの低速降下と軽い力での巻き上げを可能にする。

回転に伴いピストンが移動。オイルが圧縮されることで制御力を発生させる。制御力はオイル流路のすき間量の大きさにより変化する。歯車なしで速度制御が可能なため、摩擦音がなく、静音性にも優れている。(TOK=東京都板橋区)

【日本発明振興協会会長賞】自動水抜き機構を備える不凍水栓柱=竹村製作所(技術部課長・清水貞治氏)

冬季には管内の水が凍結し、管が破裂する恐れがあるため、管中の水を抜いて凍結を防ぐ必要がある。開発品は自動で水抜きができる吸気開閉機構を内蔵した不凍水栓柱であり、通常時はピストン部が膨張し通気孔を封止し、冬季は体積が収縮し通気孔の封止が解除され、空気が水栓柱内に入る。

また、ワックスの温度による体積の膨張と収縮を利用して温度感知と駆動を両立させる機構を組み入れ、水抜きの操作を自動化した。(竹村製作所=長野市)

【日刊工業新聞社賞】木板の連続曲げ加工システム=今井産業(取締役会長・今井公文氏)

厚さ0・5ミリメートル程度の木材単板を連続的に波形形状に曲げて加工する方法を確立し、加工装置も開発した。形状を整える整形装置と、整形された波形を固定する安定化装置とともにシステム化した。

加湿した平板を波形に成形後、高温の加熱プレスと急冷のためのプレスを連続で用いて整形し、形状を安定化させる。形状を工夫することで成形後も接着剤や樹脂などを使う必要がなく、割れが発生しにくい。表面のけばも立ちにくい。(今井産業=青森県平川市)

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