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日産とメルセデス・ベンツが共同開発を終了した背景事情

日産自動車と独メルセデス・ベンツグループ(旧ダイムラー)の共同開発プロジェクトが終了したことが分かった。エンジンの相互供給などガソリンやディーゼル車を前提に協業を進めてきたが、電気自動車(EV)シフトなど脱炭素に伴う開発環境の変化で協業の重要性が薄れた模様。日産は2022年3月期決算から有価証券報告書への記載を止めた。

日産は「(メルセデスとの)新規開発プロジェクトは終了しているが、共同開発したエンジンのリコール対応などは一部で続けている。共同開発の可能性を閉ざしている訳ではない」としている。

日産と連合を組む仏ルノーは、10年にダイムラーと資本・業務提携した。日産とルノーがそれぞれダイムラーの株約1・5%を取得し、ダイムラーは日産とルノーに3・1%ずつ出資した。3社でのエンジン共用を皮切りに、小型高級車やピックアップトラックの共同開発などに発展。日産とダイムラーは17年にメキシコで合弁工場も立ち上げた。

ただ、その後は新車開発プロジェクトなどを凍結。18年に日産のカルロス・ゴーン元会長が逮捕された後は提携の推進力が失われ、21年にはルノーと日産がそれぞれ保有していたダイムラーの全株式を売却した。残る共同プロジェクトはメキシコ合弁工場など一部にとどまる。

電動化をめぐり日産とルノーは三菱自動車を含めた3社連合で27年までに230億ユーロ(約3兆円)を投じ35車種のEVを投入する計画を進める。メルセデス・ベンツも30年までに約400億ユーロを投資し、すべての新車をEVに切り替える方針。

日刊工業新聞2022年7月14日

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