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GE、インダストリアルインターネットで日本企業向けにアプリ開発

ビジネス活性化へ10社程度のパートナー募る
 米ゼネラル・エレクトリック(GE)はモノのインターネット(IoT)分野で日本企業との協業に乗り出す。IoTやビッグデータ(大量データ)分析に使うアプリケーションソフトを確保するため、開発パートナーを募る日本語サイトを1月下旬に開設する。10社程度のパートナーを集めて日本企業に適した産業用アプリを開発、日本でIoTビジネスを拡大する。日本では日本GE(東京都港区)が事業を担う。アプリはGEが開発した産業用の基本ソフト(OS)「Predix(プレディックス)」のプラットフォーム上で利用する。プレディックスは多様な産業機器やセンサーをネット上でつなぎ、データを一元的に管理する。

IoT標準化、スピードで勝る米国流


日刊工業新聞2016年1月7日付「つながる工場元年」より


 米国発のモノのインターネット(IoT)推進団体、インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)。目的は標準化ではなく、ビジネスの活性化だ。日本国内でも実用化事例が登場しはじめた。

 富士通のパソコン生産子会社、島根富士通(島根県出雲市)ではIICから「テストベッド」に選ばれたシステムが動いている。テストベッドとは、ほかの参加企業と協力しながら実際にシステムを開発し商用化につなげるプロジェクト。現段階では、日本からは同じ富士通グループの山梨県の工場と2件のみが選ばれている。

 このシステムでは、検査などで量産ラインからはね出された「リジェクト品」とよぶパソコンの修理工程を管理する。

 従来はそのパソコンが修理前か修理中か、出荷作業中かという大まかな単位でしか進ちょくを管理できなかった。工場内の所在地もわからず、急な出荷などの際には人手で数十分かかって探していたという。

 新システムでは、工場内のおおまかな場所や修理の進ちょくなどを画面上で一括表示する。近距離無線通信ブルートゥースの発信器をパソコン1台ごとに装着し1、2メートル間隔で配置したアンテナから場所を検知する。

 テストベッドの開発結果はIIC内で公開・共有され、商用化に向けてユーザー企業や資金提供元などを見つけるのを後押しする。「主要なITベンダーが集まっているし、取引関係をつくるのにも役立つ」とIIC加盟のメリットについて富士通IoTビジネス推進室の水谷隆夫シニアマネージャーは話す。

 IIC陣営の有力企業、米ゼネラル・エレクトリック(GE)によるIoT基盤システム「プレディクス」。日本では2014年4月にいちはやくソフトバンクが外販を始めた。営業を担当する赤堀洋法人事業開発本部長は「当初なかなか意味をわかってもらえず、最後には怒り出すお客さまもいた」という。

 このほどLIXILに初めて採用された。子会社で手がける一戸建て住宅向けの浴室設置工事で、施工担当者の手配を効率化するのに導入し手配作業が3分の1の時間で済むという。

 ソフトバンクのデータセンターにシステムを構築しクラウド形式で提供する。「通信事業者も回線だけを売っていては業績は上がらない。そこに乗せるサービスとしてIoTは有望だが、もっとも高付加価値なのがプレディクス。今後はより簡易なサービスもメニュー化したい」(赤堀本部長)。

 プレディクスは、東芝も自社のIoTシステム基盤に組み込み、まずはビル設備向けに自社で使って検証する。このスピード感こそIICの特徴だ。
日刊工業新聞2016年1月15日1面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
プレディックスのようなプラットフォームは例えば自動車関連などの生産工場に入っていくにはまだ先になるのではないか。それぞれのメーカー(顧客)がデータを外部に出したがらない。三菱電機などのFA機器事業もデータ分析サービスまで展開できていない。GEが日本でどのようなパートナーを集める注目。

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