トヨタ生産方式が支える、JMCが鋳造部品の生産能力を倍増
JMCは、工場自動化(FA)機器向けの鋳造部品の生産能力を2023年内に現状比2倍の月産1万台に高める。トヨタ生産方式(TPS)をベースとした改善活動で、一定量の生産にかかる時間や人手などを表す「原単位」を半減。長野県飯田市内の生産拠点に分散していた量産ラインを23年1月に稼働する新棟に集約し、効率を高める。FA需要に対応するほか、電気自動車(EV)など新たな量産品の受注獲得も狙う。
現在はコンセプトセンター(長野県飯田市)内の複数の工場で、試作と並行して鋳造部品の量産を手がける。23年1月以降、全ての量産工程を新棟に集約。改善活動も継続し、月産1万台体制に引き上げる。
21年から約半年間のトヨタによるコンサルティングにより量産のノウハウを獲得した。従業員の動作や動線の「ムリ・ムラ・ムダ」を排除したほか、かんばん方式を採用して余分な仕掛在庫を削減し、スペースの有効活用を実現した。TPSの思想を取り入れつつ、短納期に対応する少量量産向けの独自手法を全社的に浸透させた。
JMCは長年、試作を専門としてきたが、2年前に試作の延長で月産100台規模のFA鋳造部品の量産を開始。新型コロナウイルス感染症拡大などを背景に自動化・省人化需要が高まり、同部品の受注が月産1000台以上の規模に拡大したことから本格的な量産体制の構築に着手した。
同社はEV用モーターハウジングなどの試作を受注しており、今後はFA部品以外にEV関連の量産部品の受注獲得も目指す。
日刊工業新聞2022年7月7日