省エネ・低コストで注目、リチウム電池からコバルト・ニッケル回収に成功した!

早稲田大学が新型電気パルス法で

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電気パルス法で剥がれたアルミ箔(早大提供)

早稲田大学理工学術院の所千晴教授、熊本大学産業ナノマテリアル研究所の浪平隆男准教授らは、車載用リチウムイオン電池からコバルトやニッケルを、新型電気パルス法で回収するのに成功した。アルミ箔(はく)にバインダーで塗布されたレアメタル粒子を、瞬間的な爆発で剝がす仕組みだ。95%以上を回収した。酸化や抽出などの従来法に比べ、省エネルギー・低コストで注目を集めそうだ。

電気パルス法は材料の導電性などの違いで粉砕・分離する。安全に行える条件で電気パルス印加を繰り返す必要がある。特に電池は有機溶媒が含まれ、爆発性があり難しい。所教授らは電極の設置場所、電気パルスの電圧・電流などを制御し、安全に行う新方式に取り組んでいる。

電気パルス法で回収された正極活物資粒子(早大提供)

今回は捲回型の車載用リチウムイオン電池から取り出した正極材を、30ミリ×80ミリメートルのテストピースに切り出した。アルミニウム箔の両面に、コバルトやニッケルの正極活物質粒子がポリフッ化ビニリデンなどのバインダーとともに、約80ミリメートルの厚みで塗布されている。


これに水中で約25キロボルトの電圧をかけると大電流が一瞬、流れて爆発する。発生するジュール熱でバインダーが溶け、アルミ箔から剝がれたレアメタル粒子が分離された。瞬間の作用のため熱変性がなく、消費電力も小さい。今後は安全性を保ったスケールアップに取り組む。

レアメタルはウクライナ情勢による供給・価格問題が起きている。通常のリチウムイオン電池のリサイクルはアルミ箔を炉で燃焼して粉砕。濃縮・選別、酸による金属のイオン化、溶媒抽出や分別沈殿などで分離・回収する。安全だが工程が多くエネルギー消費型となっている。

日刊工業新聞2022年6月29日

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