ビール販売、19年ぶりに浮上。市場は底打ちしたのか

各社、今年の戦略は?

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 ビール国内大手が14日まとめた2015年の課税出荷数量は、ビール単体が同0・1%増の2億1489万7000ケースとなり、実に19年ぶりにプラスへ転じた。しかし、ビール類全体(発泡酒や第3のビール含む)では前年比0・5%減の4億2492万2000ケース(1ケースは大瓶20本換算)で11年連続でマイナスだった。ビール単体でのプラス転換は、9月に新ブランド「ザ・モルツ」を発売したサントリービールをはじめ、各社がビール販売に力を入れたことが貢献した。16年も酒税一本化の思惑もあり、各社がビールに力を注ぐ。ビール市場の底打ちとなるか注目される。

新製品続々、好みの多様化に対応


日刊工業新聞2016年1月11日


 ビール大手4社の2016年事業計画が出そろった。ビールで前年比6%増の目標を掲げるサントリービールを筆頭に、各社ともビール類ジャンルの中でビールに力を入れる。一方で市場全体の伸びは全社が前年比横ばいか微減を見込む。15年はサントリー、16年はアサヒビールがビール分野で新ブランド商品を投入。「販売促進費の体力競争から脱却したい」「市場全体を広げたい」という各社の思いと裏腹に、16年はシェア争いが一段と激化する可能性もある。

若者に照準


 16年に発泡酒や第3のビールでなく、各社がビールに注力する狙いは何か。一言でいえば高価格で収益性も高いからだ。ビールは装置産業である分、単一ブランドで多く売れば生産性が上がる。アサヒの「スーパードライ」は毎年1億ケース(1ケースは大瓶20本換算)を販売する。

 ただ最近は、消費者の味の好みが多様化。20―30代若者層のビール離れも深刻だ。「ザ・モルツ」を15年9月に投入したサントリービールの水谷徹社長は「若い人の需要を取り込む」と強調。プレミアムモルツの派生商品「香るエール」は若い女性を狙う考えだ。

 アサヒは5月に、7年ぶりの新ブランド「ザ・ドリーム」を出す。コクやキレとともに糖質50%オフの機能性が特徴で、年間販売目標は400万ケース。既存ブランドの派生商品でなく、新ブランドを出す小路明善社長は「メーカーの視点で自社商品の優位性をアピールする販売方法では限界がある。新しい価値観を提供してくれる新ブランドを消費者は求めている」という。

キリン、地域に密着


 キリンビールのキーワードは”地域密着“とクラフトビールだ。看板ブランドの一番搾りで、15年発売した9工場限定商品に続き5月以降、全国47都道府県別の一番搾りを発売する。一番搾りは15年に前年比4・2%増の数量を売り上げ、ビール全体で1%増と「21年ぶりプラスを達成する原動力になった」(布施孝之社長)。47都道府県ビールは地方支社の社員とともに地元消費者が商品コンセプトや使用原料などで関わり合う。地域住民との一体感で「おらが町の一番搾りビール」からブランド全体の購入増につなげる作戦だ。

サッポロ、21年ぶり増


 サッポロビールも「黒ラベル」が、昨年に21年ぶりプラス。「若者層を意識した情報発信に加え、大阪にアンテナショップを設けて相対的に弱かった西日本地区で知名度、シェアが伸びたのが奏功した」(尾賀真城社長)。各社の思惑が吉と出るか凶と出るか、結果はこれからだ。

日刊工業新聞2016年1月15日3面

COMMENT

明豊
執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括

一方で、アサヒが英SABミラー傘下の欧州ビール2社の買収に名乗りを上げるなど頭打ちの国内から海外戦略も欠かせない。でもキリンが買収したブラジル事業の損失で赤字に転落するなど、なかなか海外はうまくいってない。ドメスティックな営業に染まった人材が幹部にいる間はスケールしないだろう。国内はやっていることは20年前からあまり変わらない。地道にだろう。注目企業はキリン。

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