東芝のヘルスケア売却先「最有力候補」富士フイルムが今考えていること

中嶋成博社長インタビュー「事業拡大にはさらなる”ピース“が不可欠」

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中嶋社長
 ―薄型ディスプレー(FPD)材料が苦戦しています。4月から最終年度に入る中期経営計画への影響は。
 「FPD材料が足を引っ張っている半面、同じくコア事業に位置付けている半導体材料や医療機器が計画を上回る伸びを示している。インスタントカメラも好調に推移し、全体では計画通りという感触だ。だが、現中計でもうひとつの柱とする新興国市場の開拓はいまひとつ。個人消費が旺盛な中国も産業の停滞が著しい。原材料を供給する新興国経済を下押ししないか、不安がある」

 ―新興国で医療機器需要が縮小する可能性もありそうです。
 「予算の調整はあり得るが、医療インフラの整備は必至。政府の主導でプロジェクトも走っている。足元でもがん検診用のマンモグラフィーや内視鏡の需要は広がっており、この流れは続くだろう。4月以降は米国の利上げや地政学的なリスクなどややアゲンストな風が吹くと予想されるが、コスト削減や販売強化の効果も出てきている。現中計の目標を据え置き、達成につなげる」

 ―高機能材料への大型投資は一巡した印象です。今後はヘルスケア分野が投資の主軸になるのでしょうか。
 「大部分はバイオ後続品の開発・製造など、医薬品関連に振り向けたい。2015年に買収した米CDIが手がけるiPS細胞(人工多能性幹細胞)製品でも、人工知能(AI)やロボットによる新設備が必要になるかもしれない。医薬品事業の拡大にはさらなる”ピース“が不可欠。17―19年度の次期中計でも、M&A(合併・買収)費用として現中計並みの4000億―5000億円を想定している」

 ―半導体業界では極端紫外線(EUV)を用いる生産技術で、難航していた光源の開発が前進しました。
 「当面は従来のフッ化アルゴン(ArF)エキシマレーザーが主力だろうが、EUVやICを立体的に接続する3次元(3D)実装といった”次“に対応できる体制づくりも進めている。同時に高純度溶剤や研磨材など周辺材料の開発も加速する。品ぞろえを充実させ、事業規模を底上げしていきたい」

【記者の目/東芝子会社の入札焦点に】
17―19年度の次期中計でも、ヘルスケアと高機能材料、オフィス機器を成長の3本柱に据える基本方針を引き継ぐ。医薬品開発に加えて、近く予定される東芝メディカルシステムズの入札にも積極的に動く公算が大きい。東芝の画像診断装置を医用画像管理システム(PACS)などと一体化できれば、事業領域の急拡大も現実味を帯びる。
(聞き手=堀田創平)

日刊工業新聞16年1月14日 素材・

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明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

東芝の事業買収では単独ではなく共同提案の可能性も

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